

ロシアで建築を学んだ学生が、日本でイラストレーターとして活躍するまで。

Instagramで100万人を超えるフォロワーを持つ話題のロシア人イラストレーター、イリヤ・クブシノブさん。
これだけの注目を集めながら、イリヤ・クブシノブさんがこれまでに辿ってきた道のりや創作のバックボーンについては、未知の部分が多い。
ゲーム会社からキャリアをスタートさせたご自身の来歴を紐解き、ロシアの地で生まれ育ったイリヤさんの目から“日本のイラストレーション”はどう映っているのか。
取材・文:須賀原みち
※本稿は、図録『ILLUSTRATION 2018』収録インタビューの転載として2018年に『KAI-YOU.net』に掲載された記事を再構成したもの
目次
- ロシア人少年が、『攻殻機動隊』に影響を受けてアートの道へ
- ロシアのイラストレーターから見た日本のイラストレーション
- 365日イラストを公開し続けるモチベーションとは?
ロシア人少年が、『攻殻機動隊』に影響を受けてアートの道へ
──ロシアご出身のイリヤさんですが、絵を描きはじめたきっかけについて聞かせてください。
イリヤ 11歳から17歳までは、建築を学ぶためにモスクワのアート学院に通っていました。そこで一般科目だけでなく、デッサンや建築関係のさまざまな勉強をしたんです。毎日絵を描く勉強をして、大学に入ってからも彫刻デッサンや建築模型を制作していたりしたのですが、このときの経験は今でも役に立っています。
──漫画やアニメといった日本のカルチャーに興味を持ったのはいつ頃のことですか?
イリヤ 大学では日本の漫画やアニメ好きが集まるサークルに顔を出していたのですが、興味を持ちはじめたのはちょうどその頃ですね。原体験としては、もっと小さい子どもの頃にたまたま見た『攻殻機動隊』の冒頭のシーンがずっと頭の中に残っていたんです。ストーリーはよくわからなかったけど、映像体験として衝撃を受けました。
それで『もっと日本の作品を見たい』と思い、サークルに行くようになってから、漫画の『AKIRA』や『BLAME!』『ヨコハマ買い出し紀行』など、数々の素晴らしい作品に触れることができました。英語版しかなかったので、漫画やアニメを見るために頑張って英語も勉強しました(笑)。
──大学で建築を学びながら、同時にゲーム会社でも働きはじめたそうですね。
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