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  • 2021.03.10

月ノ美兎から見たスパチャ、大石昌良から見たVTuber文化

音楽家・大石昌良と、バーチャルカルチャーのサブカル委員長こと月ノ美兎。

お互いの疑問をぶつけあった、次元を超えた対談。

月ノ美兎から見たスパチャ、大石昌良から見たVTuber文化

(C)I/N

2020年末にはLiSAの「炎」がレコード大賞を受賞するなど、今なお大きな変化の最中にありかつてない熱気を見せるアニソンシーン。そのすぐ近くで、すべてを過去にするほどのスピードで発展し、だれもが目を背けることのできない規模にまで成長したカルチャーが存在した。それがバーチャルYouTuber(VTuber)だ。

2017年末の爆発的なムーブメントから急成長を遂げていることはもはや周知のとおりで、音楽面をフォーカスすると多くのメジャーリリースや大型イベントの開催など、華々しい展開を続々と見せている。

音楽クリエイター/歌手・大石昌良との連続対談であるこの連載にも登場した田中秀和堀江晶太草野華余子といったクリエイターも、楽曲制作に参加している。

VTuberが1万人を突破したというニュースも今や昔、強烈な才を持つ者たちが覇を競うシーンにおいて、大石昌良が本連載で初めて対談相手として指名したVTuberが月ノ美兎である。

VTuberシーンにその名を轟かすバーチャルライバーグループ「にじさんじ」のスタートメンバーとして2018年2月より活動を開始。バーチャル界の学級委員長としての豊富なサブカル知識と尖りに尖ったセンスで瞬く間に頭角を現し、グループとしては両国国技館でのライブを成功させ、ソロではメジャーデビューを果たすなど現在に至るまでシーンの最前線で活躍を続けている。

互いのシーンで絶対の存在感を放つ二人の邂逅はいかなる化学反応を生むのか、誰にも予測することはできない。次元を越えたセッションが今始まる。

目次

  1. アニソン界のおしゃべりクソメガネvsバーチャル界の学級委員長
  2. 人が集まりやすい配信、今求められているもの
  3. 月ノ美兎と同じ属性の芸能人?
  4. VがスパチャをYouTubeに根付かせた
  5. 2人に共通する、ファンへの向き合い方

アニソン界のおしゃべりクソメガネvsバーチャル界の学級委員長

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大石 お久しぶりです。3周年おめでとうございます。

月ノ お久しぶりです。ありがとうございます。

──月ノ美兎さんとは、2019年にバーチャル配信プラットフォームREALITYで配信された音楽番組「ぶいおん!!」でオーイシマサヨシさんとの共演がありました。オーイシさんが「Dream Triangle」を聴いて月ノ美兎さんのことを「いい声をしている」というのが最初の言及でしたよね。

大石 相変わらずいい声ですね。

月ノ 光栄です……!

──お互いの第一印象は覚えてらっしゃいますか?

大石 第一印象はすごい華憐で物静かなサブカル委員長って感じでしたね。元々存じ上げてはいたんですけど、人見知りとかするタイプなのかなって印象はありました。

月ノ 私は反対にものすごいしゃべる方なんだなって思いました。アニソンシンガーとしてのオーイシ(マサヨシ)さんは存じていたんですけど、MCとかをされているイメージがなかったので。その後でご自分でも配信とかされてるのを知って、明るい方なんだなって思ったんです。

大石 確かにあの頃はMC業をやり始めたくらいのタイミングで、新しい道に歩み始めた時でもあったんですよ。

月ノ そうだったんですか。でもコメントですでに「おしゃべりクソメガネ」とか言われてましたよね?

大石 アレはもっと前からあるあだ名みたいなものなんです(笑)。僕も普段は全然しゃべらないんですけど、「アニソン界のおしゃべりクソメガネ」を自称することでおしゃべり系の仕事が増えたらいいななんて思っていたら、本当に増えちゃいました。

月ノ すごい言霊の力ですね(笑)。

──月ノさんは大石さんをどのようなきっかけで知ったのでしょう?

月ノ 「君じゃなきゃダメみたい」がきっかけでした。主題歌になったアニメは見ていなかったんですが曲は知っていて、初めて聴いた時になんて気持ちのいい曲なんだろうと感じてものすごい好きになったんです

君じゃなきゃダメみたい_2019 Zepp Diver City

大石 曲から知ってもらえるのはアーティスト冥利に尽きますね、ありがとうございます。

月ノ その後『けものフレンズ』の曲を担当されたあたりからお名前を聞く機会がめちゃくちゃ増えた気がします。

大石 VTuber界もあれから2年で激動ですし、月ノさんもますます人気アーティストになってしまって。僕の周りにもファンが多いです。

僕も今回の対談のためにいろいろリサーチさせていただいたんですが、にじさんじさんって元々は「にじさんじアプリ」を出す予定で活動が始まったんですよね。

月ノ そうなんです。元々は月ノ美兎の体をいろんな人が使えるようになるような配信アプリをリリースする予定で、そのPRとして私たちの活動が始まりました。

大石 でもその最初のメンバーたちがあまりにバズりすぎて、アプリのリリースからタレント活動にシフトしていったと。

月ノ それもあるんですが、単純にAppleにアプリの配信が認証されなかったんです(笑)。

大石 それがもし通っていたら、月ノ美兎のアバターを僕が使って配信するなんて世界線もありえたわけか、めちゃくちゃ面白いな。となると今の状態は最初に思い描いていたゴールとはかなり違うものになっているんですね。

月ノ そうなります、(にじさんじを運営する)いちから自体も立ち上がったばかりでしたし、最初の方は結構いろんなことがなりゆきで変わっていきました

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