「VTuberはギャルと一緒」バーチャルシーンの“北極星”キズナアイの功績と、魂の在り方
2024.08.12
キズナアイのボイスモデル、Kizuna AI株式会社の元アドバイザー。
春日望が赤裸々に語る言葉から改めて考える「バーチャルYouTuberとVTuberとキズナアイ」
クリエイター
この記事の制作者たち
声優で、バーチャルYouTuber(VTuber)のパイオニア・キズナアイのボイスモデルとして活動してきた春日望さんへの独占取材。
自身の声優に至るまでの経緯や、これまで語られることがあまりなかったキズナアイのオーディション秘話。そして分人騒動の裏話。
そんな話を赤裸々に語る春日さん。後編では「キズナアイのアニメ化」とも発表され、実際にはキズナアイを目指す少女が主人公に描かれた『絆のアリル』から、バーチャルYouTuberカルチャーにおいてのキズナアイについてなどをうかがった。
「VTuberとはなにか?」「VTuberは生身の肉体を晒すべきなのか?」といった議論が好きな視聴者は是非最後まで読んでいただきたい。
目次
- キズナアイ、スリープから再始動へ?
- アイちゃんに全振りしたかった自分がいた
- バーチャルYouTuberとVTuberとキズナアイ
- 歌い手文化や生放送文化──春日望から見たバーチャルYouTuber紀元前
- VTuberという言葉や文化が残り続けることが、これからもキズナアイを象徴づけてくれる
- もしいま、春日望がVTuberになるなら?
──キズナアイのプロジェクトは今、再始動し始めています。春日さんは、スリープ以降のプロジェクトとはどういった関わり方だったのでしょうか。
春日 SNSにもちょっと書いたんですけど、アイちゃんがスリープするタイミングで、私としては関わるのは辞める予定でいたんです。
分社化のタイミングで、「私が関わるのはアイちゃんがスリープするまででお願いします」というお話もしていました。
アイちゃんのスリープが発表されたタイミングで、改めてプロジェクトの責任者に3月ぐらいで辞めたいですって伝えていて。
ただ、いざ2月になると「3月以降もいてもらいたい」と言っていただいて……。アイちゃんが眠っている間にプロジェクトを動かすのって、もちろん今関わっている人たちで。そうなると初期からのメンバーは(Activ8代表取締役社長)大坂武史さんぐらいしかいないんです。
今はKizunaAI株式会社の社長も大坂さんになって、間接的に当時からの方も関わっていると思うんですけど、みんなアイちゃんのスリープ中、どうしたらいいかわからなくて不安な部分も大きかったようで……。
──なるほど。
春日 アイちゃんの意思や目標に合わせて、ああするこうするとかはあるんですけど、やっぱり旗を振る人がいないとみんな困っちゃう。私はアイちゃんに関わっている歴も長いのでアイちゃんやファンの方への感度が高かったり、「こうしたいならこっちだと思います」と割とキッパリ言うところがあるので、不十分なところもあったと思いますが、それが皆さんに安心感を持っていただける部分だったみたいです。
例えば、Alleles Project※や#kznちゃん※も走り出し、どうしたらいいのかわからない、みたいなときに手伝ったりしていました。本当に超走り出しだけですが……!
※ Alleles Project:『絆のアリル』連動のXRアーティストプロジェクト。登場する声優らアーティスト活動を行っていた。3月29日に定期活動を休止
※ #kzn:キズナアイを基にした歌唱型の音声合成エンジン・CeVIO AIのライブラリキャラクタ
──手伝うとは、具体的にはどういうことをされていたのでしょうか?
春日 例えばスタッフの方のやりたいことに対して、「こっちのやり方だとこう出来ます」とかアドバイスを出すような形でした。人手が足りない部分に入ることもありましたね。
基本的にプロジェクトが上手くいくなら何でもいいので、任せてもらえるなら何でもするし、私が全部正解だとは思っていないので、意見やアイディアを出してプロジェクトにとって、アイちゃんにとって一番良いものを選んでもらいたいというスタンスでいました。
ただ、私は責任者でも、決定権がある人間でもありませんからもどかしい思いも多くあり、1年近く関わり方を協議したのですが区切りをつけたくてアドバイザーは退任しました。
※編注: 『絆のアリル』公式サイトのインタビューの中で、シリーズ構成を担当した赤尾でこさんは、「スタートから話しますと、企画自体は2018年頃には始まっていました。そして、2019年の春頃からアイディアがまとまり始め詳細な企画をつくり始めたと思います。」などと話しており、長期的に制作していることが語られている(外部リンク)
──そういった春日さんの心境がスリープには関与していたのでしょうか。それともプロジェクトやチーム自体の方針なのでしょうか。
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