Interview

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  • 2019.04.05

再来する、ボーカロイドの新たな〝うねり〟

初音ミク10周年をはじめ、米津玄師や須田景凪といったボーカロイドをルーツとするアーティストたちの躍進といったメモリアルな出来事を経て、ボーカロイドシーンはまた新たなフェーズに突入している。

再来する、ボーカロイドの新たな〝うねり〟

かつて隆盛を誇ったネット発の音楽「VOCALOID(ボーカロイド)」シーンが新たなフェイズに突入している。

2018年、みきとPさんが投稿した楽曲「ロキ」はYouTubeやニコニコ動画というプラットフォームを越え、そんな状況を象徴するような人気を博している。

そんなみきとPさんに行ったインタビュー前編では、バンドシーンからの挫折とボカロとの出会い、初期の「ボーカロイド」を中心としたクリエイターたちの熱量について振り返ってもらった。

後編では、YouTubeに主戦場が移った新たなボカロシーンの景色と、自身のクリエイターとして現在のスタンス、2013年以降の「衰退期」についてさらに深く語られていく。

目次

  1. 「ロキ」のヒットがもたらしたもの
  2. 「ボーカロイド衰退期」のリアル
  3. それでもアツいままの奴らはたくさんいた
  4. ”ニコニコ動画”から“YouTube”への変化
  5. 「イロモノ」からポップ化していくボーカロイド

「ロキ」のヒットがもたらしたもの

──2018年に発表された「ロキ」は、1500万再生を越え、様々なクリエイターによる二次創作もアップされ、まさに2018年のボカロシーンを語る上で欠かせないヒット曲になりました。ご自身ではヒットの理由はどこにあると考えられていますか?

みきとP 段階的なもので、最初はやっぱり歌詞や楽曲ギミックが刺さったっていう部分で、内輪でも評価をいただけたし、それに付随して二次創作もみなさんが楽しんでくれたところだったり。今の自分の立ち位置含めタイミングが良かったってのもあったと思います。

つくり手としては、「単純にかっこいい」っていう理由が一番の理想ですけどね。

確かにロキの膨らみの度合いは、想像を上回りましたが、それはそれとして、事実として良かったなという感じです。決してこれが毎度のアベレージではない。

──2018年は「ロキ」の発表をひとつのピークとして、当時のボカロシーンには新たな流れが成立していると感じました。みきとPさんとしても何かシーンの変化を感じとられていましたか?

みきとP みきとP 新しい流れもあると思いますし、変わらない部分もあると思います。

目立つ部分が目立ってそう見えるところもあるでしょうけど、こと自分に関しては去年や一昨年とそんなに変わってはいません。1つ近年の大まかな傾向としては、“人間”が出てくることに対して、抵抗感がなくなってきたことですかね。

自分も「ロキ」で人間とボカロを合わせてみたりとかしましたし、顔出しにとどまらず、“これが自分です”という主張が昔よりも強くなってきている。それこそ自分で歌ったりする人も増えてきてると思います。でも別にそれが流行るかといえばそうでもないのかな──もともと自分で演りたいと思ってた人は遅かれ早かれそうするだけだと思うし。

新しくかっこいいクリエイターが出てきてはそれが世代のカリスマになって、波が去ると凪が来て、そして波が来るっていう流れは相変わらず繰り返すのかなと思ってます。

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