切り抜きは応援? 「Vすこすこ丸」らVTuber切り抜きチャンネル運営が語る、知られざる実態
2021.10.03
クリエイター
この記事の制作者たち
12年に及ぶゲーム実況者のキャリアを持つ、ガッチマンさん。
ゲーム実況がお金にならなかった時代、インターネットにコンテンツを投稿するという「遊び」の一環からはじまった動画投稿の文化は、気づけばエンターテイメント産業に欠かせないものとなった。
長年第一線でシーンを牽引してきた一方で、2020年にVTuber「ガッチマンV」を始動。
近年、同一視されることも多いVTuberとゲーム実況者。インタビュー前編では、その文化的な類似と差異、コミュニティの目指すべき方向性の違いを経験に照らし合わせて語ってもらった。VTuberとなって、長いキャリアを持ちながらも未知の世界の扉を開いたガッチマンさんは「毎日が新鮮になった」とも言う。
一方で、すでにVTuberシーンも勃興から5年の歳月が経とうとしている。黎明期を越え、急速に成熟しつつあるVTuberシーンにおいて、演者として必要なもの・大切なこととは?
インタビュアーの佐藤ホームズさん
目次
- 自分自身を曝け出す場としての「ガッチマンV」
- VTuberであることで、コンテンツもファンも棲み分けされる
- VTuberならではの葛藤と、その抜け出し方
- 「学生の頃に戻った感じ」
- ゲーム実況もVTuberも、「一点特化型」へ
- VTubeは、ゲームの消費サイクルが早すぎる
- シーンの成長と、新しいエンジンが必要な時代へ
佐藤ホームズ メインチャンネルでホラーゲームの動画を投稿される時と、「ガッチマンV」というVTuberとして配信するときの意識の違いはありますか?
ガッチマン ガッチマンの方は「ゲームが主役」という意識で、雑談もせず、とにかくずっとゲームの話をしてるんですよ。
一方、「ガッチマンV」は自分の中のめんどくさい部分も出てるんですよね。「ガッチマン」の方は余計なことを言わないので、綺麗めというか優しそうなイメージがあると思う。でも「ガッチマンV」は普段のおじさんなんです。
お酒も飲むし、思ったこともすぐに口に出すので、少し面倒くさいタイプだと思います(笑)。ただ、より人間らしいのは「ガッチマンV」の方ですね。素の自分に近いのかな。

佐藤ホームズ ご自身でそういったキャラクターの使い分けを決めているんでしょうか?
ガッチマン そうですね。これだけ長くゲーム実況をしていると、視聴者の「みんなが求めるガッチマン像」と素のガッチマンが少しずつずれていくんですよ。
僕は後ろ向きな発言をしたつもりでも、みんなが求めるガッチマン像を信じている人は、逆に「そこまで考えてるんだ、凄い!」と、なぜか僕の発言を全部ポジティブに捉えてしまったりするんです。
そうすると、みんなにもっと喜んでもらえるようにしなきゃ! と思って、演技とまでは言わないけど、次第に素の自分から外れていってしまう。延々とホラーゲームばっかりやっていて、怖いゲームも全然怖がらない人で……という印象としてのガッチマンを気づいたら演じている自分が現れてくる。
「ガッチマンV」の方は普段通りの私を出しているので、今後さらに両者の差が出てくるかもしれないですね。
佐藤ホームズ メインチャンネルの方でできているガッチマン像からの脱却という形で「ガッチマンV」の役割がある。VTuberの方が素を出せる場所になっているのは、なかなか面白いなと思います。
ガッチマン 僕は結局、昔やっていたネットゲームの延長だと思ってるんですよ。
外見(アバター)があるネットゲームを仕事帰りにやって、周りにみんながいて、ずっとチャットするのが好きだったんです。普段は言えない自分の素を出せて、時には愚痴なんかも言える楽しいコミュニティ──「ガッチマンV」もそれと同じ感覚で、素の自分を語れて、そこで知り合った友だちとゲームをしているわけです。
メインチャンネルでは視聴者のみんなに、コンテンツとしてエンターテイメントを見せようとしている。「ガッチマンV」ではネトゲをやっていた時代の僕に似た感じで、ただ自分が楽しんでいるだけかもしれない。
佐藤ホームズ 裏表がない自分を出しているからこそ、親しまれている側面も強いと思いますね。
ガッチマン 楽しませたり、不快にならないようにとか、言葉遣いとかもゲーム実況の時は意外と考えているんです。でも「ガッチマンV」の方では意識せずにスッと出ちゃいますね(笑)。でもそのぶん楽で、いっぱい喋れる。

佐藤ホームズ メインチャンネルの方は長く続けるうちに「仕事」になりすぎてしまった、という部分もあるんでしょうか。
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