「リアルの方が偉いと考えがちな人は多い」リアルとVRクラブの店長対談
2021.06.03
「ファッションにとってVRとは、VRにとってファッションとは」
その問いが浮き彫りにする現実とのファッション、VRそれぞれの立場とは。
クリエイター
この記事の制作者たち
バーチャルクラブ・GHOSTCLUBとファッションブランド・chloma。それぞれを主宰する0b4k3氏とJunya Suzuki氏。
前編では、VRChat上で長く活動を続け”場所”をつくり上げてきたふたりの活動の動機や”場所”への想い、コラボレーションに至るまでの過程について話を聞いた。
おそらくこのふたつの場所は基底現実だけで活動していたら出会うことはなく、VRChatというプラットフォームを介して出会うことでコラボレーションが実現した。
このように、これまでの「インターネットという二次元空間」とは異なる創造性が存在する場所として「バーチャル空間という三次元空間」が発展しつつある。そこは基底現実の映しでもあるが、バーチャル空間独自の文法も備わり、基底現実とバーチャル空間がミックスされた独自の文化圏が形成されている。
後編では、そうしたバーチャル空間の文化について、音楽やファッションを中心に、それがどのように展開されており、今後どのように展開していくのかを聞いた。
目次
- 変遷するバーチャルファッション
- バーチャル空間上のファッションのトレンド
- バーチャル空間での経験が基底現実の行動を変えた
- 服を着ること、アバターを着ることのハードルの高さ
- 「生きた世界」があるバーチャル空間
- 多様性のるつぼとしての“場所”
左:0b4k3 右:Junya Suzuki
Suzuki 最近0b4k3さんと、バーチャル空間でのファッションが洗練されてきていると話しています。基底現実だとしてもおしゃれだろうというスタイルが増えてきていて、以前のカオスな状況からトレンドの輪郭が見えてきた気がしています。
もちろんVRChatにはいろいろなユーザーがいるので広く見ればまだカオスだと思います。ですが、基底現実のファッションの流れと同じように、ある傾向が生まれるとその後に退屈も生まれ、そこからさらに変革が起きる。そういうことがこれからVRChatに起こるのかもしれないと期待してます。それがどのような姿になるのかが楽しみですし、もちろん僕もそこに対してこういうファッションはどうですかと提案したいと思っています。
0b4k3 YOYOGIMORIさん(関連記事)をはじめとして様々なクリエイターが色々な提案をされていますよね。先日は「今押さえたい! バーチャルファッションクリエイター10名ピックアップ」という記事が出ていて(外部リンク)、クリエイターがファッションとして服をつくっていこうという動きや流れが実際にできているんだと思います。
これまでとはまた違った流れが発生して、VRChatのファッションが多様化していくのは楽しみですね。
──なぜそういう変化が起きるのでしょうか?
Suzuki ユーザーが増えて、元からコンピューター関連が得意だった人や、キャラクターが好きという人たち以外の層が増えたという側面もあると思います。
その結果、バーチャル空間で行われる活動が広がって、そこで適した装いを欲しい人が増えたことや、コミュニティの装いに引っ張られるケースが出てきたからなのではないかと思います。
0b4k3 あとは、環境が整ってきたという面もあると思います。
以前は、やっぱり一定以上のスキルや知識がないと、VRChatではファッションというか、アバター改変を楽しめなかったと思うんです。アバターや服やアクセサリーのモデルも当時はそこまで種類がありませんでした。自分にフィットするものがない場合は自分でつくるか、あるものを頑張って改変するしかない。そしてそれは特殊技能なので、全員ができるわけではない。
今は服やアクセサリーも増えて、ハウツーも充実しているので、やり方をなぞれば簡単にアバター改変を楽しめるような環境になっています。ユーザーが作った独自ツールも優秀なものが増えていて、凝りたいと思っていたけど凝れなかった人が配布されているツールを使用することによって、自分の表現をしっかりと表に出せるようになってきたのは良いですよね。
Suzuki 今のVRChatのアバターやファッションの特徴的な傾向は、どういったものなのでしょうか?
0b4k3 VRChat全体となると、観測できないくらいにコミュニティは広がっているので、正直どんなものが流行っているのか僕には良くわからないです。
以前までは「VRChat」というふんわりとした大きい界隈の雰囲気があった気がするんですが、今はもっと規模も大きくなってコミュニティも多種多様になっていて、僕が観測できているのは「VRChat国のGHOSTCLUB県とその隣まで」みたいな感じですね。
あくまで僕が観測できている状況は限定的であるという前提で話すと、アバターやバーチャルファッションの作者さんのレベルはどんどん上がっているなと感じています。
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