「インターネットストリート」を体現する
2020.01.09
バーチャルYouTuber(VTuber)関連トピックを毎週ピックアップし、よりPOPに、より深く掘り下げていく『週刊VTuber経済ニュース』。
第16回は、VTuberのゲーム実況について解説する。
VTuberがゲーム実況をするようになって久しいが、両者はもはや切っても切り離せない関係にある。
VTuber文化の黎明期である2017年頃は、キズナアイさんや電脳少女シロさんらが『Getting Over It with Bennett Foddy』や『休むな!8分音符ちゃん』、『Cuphead』などをはじめとするインディーゲームを中心に、ゲームを実況。
当時は、録画されたものを動画として投稿するという形が主流だった。
多くのVTuberの活動形式が動画投稿ではなく生配信に変化したものの、ゲーム実況自体は、多くのVTuberにとって主たる活動手段になっている。
理由は、星街すいせいさんと花譜さんとの対談で「実況配信って手軽で、ゲームをプレイしてるだけでコンテンツとして最低限は成立する」と言及されている通り、つくり込んだ動画コンテンツと比較すると、制作コストは低く、長時間かつ高い頻度で行うことができる──代わりにリアクション芸やリアルタイムでの即応力は高い水準を求められるようになっているが。
10年以上にわたってゲーム実況を行い現在ではVTuberとしても活動するガッチマンさんも、あくまで体感ながら「全体を俯瞰して見てみると八割方のVTuberがゲーム実況がメインなんですよ」と語っている。
特にぶいすぽっ!やNeo-Porteなど、e-Sportsを主軸としたVTuber事務所も登場して人気を博している。
生配信の情報サイト・Streamlabsは四半期ごとにゲームに関するレポートを掲出している。2022年第3四半期の報告では、2億2600万時間分のゲーム実況コンテンツが生配信されており、視聴者は様々なプラットフォーム上で72億7000万時間分もゲーム実況を視聴している。
VTuberに限った数字ではないが、世界的にゲーム実況の人気をうかがい知ることができる。
目次
- ゲーム実況は連鎖する
- ゲーム実況の経済効果
- ネタバレと権利問題について ゲームメーカーへどう還元するか?
- ホロライブ無許諾配信 個人か企業か?
- 各VTuber企業のゲーム実況への対応
さて、今回ゲーム実況について触れる上で注目したいのは、その「連鎖性」だろう。
VTuberに限らず、ゲーム実況においては著名な活動者がゲームをプレイすることで、他の活動者がそれを参考にゲームをプレイし始めるという事例は少なくない。
先にあげた『Getting Over It with Bennett Foddy』は通称「壺おじ」の愛称で親しまれ、その難易度の高さから次々とゲーム実況に挑戦するVTuberが現れたことで、そのゲーム実況は「VTuberの登竜門」との呼び声もある。
こうして連鎖的に実況されることで、YouTubeなどの配信プラットフォームやコミュニティにおいてのゲームの知名度は倍々的に向上していく。
また、この連鎖的な側面は、制作者やタイトルシリーズにも通じる。ひとたびVTuberのゲーム実況需要の高いタイトルを出せれば、新作や続編も、映像プラットフォームに投稿してもらえる可能性がある。
毎回、作品がゲーム実況でプレイされることで人気を博しているインディーゲームクリエイターの代表格に、Chilla's Art(チラズアート)が挙げられる。
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