コミケのサークル出展数から見るVTuber市場の勢力図
2023.08.30
「ポケモンカードゲーム」(ポケカ)空前のブームは社会現象に。一方で、その熱狂は濃い闇を生み落としている──
クリエイター
この記事の制作者たち
トレーディングカードゲーム(TCG)市場が、バブルに沸いている。その立役者は「ポケモンカードゲーム」(ポケカ)の存在だ。
熱狂するムーブメントは、同時に濃い闇を引き寄せてもいる──窃盗や盗難事件の多発、違法性が疑われる賭博行為などの横行がそれだ。
ポケカの闇に迫った本連載。前編では、ポケカ投資家のS氏と個人でオリパ販売業を営むM氏に、ポケカ投資界隈の現状について話を聞いた。
後編となる本稿では、オリパや福袋販売を手がけるW氏を取材。何かと業界を騒がせる、ポケカ界の怪人物だ。
7月初旬に東京・渋谷の高級ホテルにて行われた買取会の前にインタビューを行い、買取会の様子も撮影。W氏が語ったポケカ投資界隈の実情とは?
目次
- 某高級ホテルで始まった、ポケカの買取会…軍資金は1000万円
- 表の顔は不動産業、ポケカ売買は「脱税目的」
- 「賭場と同じ」違法性が指摘されるニブイチ配信とは?
- PSA偽造の手法──中を抜くか、外を偽装するか
- 完全に愉快犯──「最終的には必ず騙して、家を買う」
- 伏魔殿となったポケカ業界 光明はあるのか?
取材に応じたW氏が待ち合わせ場所に指定したのは、東京・渋谷にある高級ホテルのロビー。
前編にも登場したM氏の仲介のもと、W氏は取材陣の前にロングTシャツに短パンというラフな格好で現れた。年の頃は20〜30代だろうか、メガネの奥の眼光は鋭く少しやんちゃな印象も見せるが、はたから見れば特別印象に残る風貌ではない。
W氏はホテル上層階の一室に宿泊しており、夕方からそこでポケカの買取会を行うという。取材陣が招き入れられた部屋のベッドには、いくつもの分厚い紙封筒やM氏が直前に調達してきたというライト付きルーペなどが乱雑に置かれていた。
動画用のカメラをセッティングしていると、W氏はフランクに「タトゥーだけは映らないようにしてほしい」と言った。口調こそ軽いが、身バレしないような配慮なのだろう。一方で、撮影が始まりまずW氏の素性を尋ねると、冗談半分なのか自身の本名までしれっと明かす。その様子は、今回の取材を楽しんでいるようにも見えた。
買取会はこのホテルの一室で行われる。今回の買取会の資金は1000万円ほどとのことで、テーブルの上に札束を積み上げていく。買取希望者から連絡が入ると、ロビーに待機しているM氏へと連絡がいき、M氏が案内して部屋に招き入れる手はずとなっている。入室できるのは一名のみで、「怪しい人、明らかに反社っぽい人、タトゥーが入っている人はNG」と話す。
最初に買取希望として訪れたのは、30代前後の朴訥とした青年だった。カバンから箱に詰め込んだ、PSA10のカードを10枚ほど取り出す。前編で解説したが、まさに今偽造問題をきっかけに値崩れしているグレーディングサービスによる鑑定済みの最高級品だ。
ポケカにおいては高騰する傾向にあるカワイイ女の子キャラのイラストが全面に描かれたレアカード数枚と、ピカチュウの限定版カード数枚が並べられる。W氏はスマホを取り出すと、Twitter(現X)で検索をかけて直近の買取価格を調べていく。ポケカ相場の変動は激しいため、Twitterなどで出回る情報が最新のものとなるのだという。
最新相場をもとに値段交渉を行うが、W氏は事あるごとに「現金手渡し」であることを強調する。いわく、現金でこうした個人間売買を行うことで税金がかからないというメリットがあるのだそうだ。というのも、高額トレカの売買は、個人間であっても雑所得や事業所得として税金がかかる場合がある。翻っていえば、こうした未申請の高額売買は脱税行為と見なされ得るということだ。
W氏は買取希望者と値段交渉を行い、女の子カードは一枚数万円、ピカチュウのカードは4枚1セット数十万円として、合計77万円を提示して、合意を得た。77枚の1万円札を手渡し、買取希望者はその札束を一枚一枚確かめると軽い足取りで部屋を後にしていった。
W氏の本業は、本人いわくテナントビルの売買を仲介する不動産業。ポケカを扱い始めたのは、2年前の2021年頃からだ。その理由を問うと、平然と「脱税目的」と言ってのける。
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