MCバトルのビジネスとしての実情、文化としての未来

Interview

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  • 2020.05.19 20:00:00

イベント集客よりも動画配信で稼いでる? MCバトルにまつわるお金の話。

「戦極」正社員、「MRJ」派遣社員、「凱旋」怨念JAPが語る未来。

MCバトルのビジネスとしての実情、文化としての未来

雑誌で得た断片的な情報を元に、CDやDVDを買いにレコードショップに通い、もっと知りたいと思ったらクラブに行き、それらの場所でやっと得た出会いや発見のプロセスが大きな喜びとなっていたのが、2000年代中盤くらいまでの音楽を取り巻く楽しみ方。

今やメディアのあり方は変貌し、多くの若い世代が無料のYouTube動画を見て文化を発見、サブスクの音楽メディアですぐさま音源をチェック、つまりは片手で持てるスマホで全てが完結し、その先にクラブやイベントがある。

どちらがどうという話ではなく、現代という時代の中にある音楽シーンそのものが、過去のあり方とはまるで鏡のようにあべこべになっていることが何より興味深い。

そうして変遷してきたシーンは、どこへ向かおうとしているのだろうか。

動画配信はバトルの心臓? 脳みそ?

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──Vol.2でも少し語られた動画の重要性ですが、MCバトルの運営において、配信の位置づけはどのようなものですか?

MC正社員 動画はバトルの心臓みたいなものですね。イベントは体で、YouTubeが心臓みたいな感じです。「戦極」はDVDもやってますけど、YouTubeだけでもいいのかなと悩んでますね。

怨念JAP YouTubeは脳みそって感じですね。イベントが心臓です。

MC派遣社員 僕は、最初にイベントをやろうと決めた時、小箱で開催する時から全試合配信しようと思ってたんですよ。なんなら最初はイベント名にYouTubeって入れてました。さすがにクソだせえなって思ってやめたんですけど(笑)。だから、最初から配信ありき。

MC正社員 確実に、この2人のイベントが伸びたのはYouTubeがきっかけですね。戦極以外の全大会がYouTubeに力を注ぎ始めたのも、「凱旋」と「MRJ」がきっかけです。

MC派遣社員 ただ、「MRJ」も何らかの形でパッケージにしたいっていう気持ちもずっとあります。DVDっていうよりは、Netflixとかに配信したい。僕より若い世代が観るものってもうDVDじゃなくて、NetflixとかHuluとか、いわゆるサブスクが主体に変わってきてると思うんですよ。その方が親しみやすいかなって思ったりもしますね。

YouTubeはベッドで1人で見る、Netflixは大きい画面に繋いでみんなで観るっていうイメージ

──なるほど。MCバトルもみんなでワイワイ観て欲しいということですね。

MC正社員 俺もそれは考えたことあるけど、 Netflixとかに配信するには、ハードルが高いイメージがある。他媒体なら出せるかもしれないけど、あーいうのって全部買取で…買取の価格自体が安い。そう考えると、そもそも自分でYouTube配信した方が簡単だし、間違いない。「凱旋」と「MRJ」が全動画配信してることもあるし、「戦極」もそっちに舵を切ろうかなと考えてます。

DVDにしても、今って簡単に違法アップロードされちゃうんですよ。しかもそれが当たり前になっちゃってる。「ダメだ」と言ってても限界があるかな。

ただ、全動画配信のネガティブな要素もあって、MCによっては全然カマしてない試合もあって、そういう試合は配信して欲しくないって意見もある。だから、ベストバウトだけ配信してDVDで売るっていうのはMC側からすると嬉しいっていうか助かるかもしれなくて、そこが悩ましいところなんですよ。

MC派遣社員 そのハードルは確実にありますね。僕、MCから「(MRJと凱旋は)全試合動画になるんだっけ?」って確認されて「全動画配信になるならよりカマさないとね(笑)」って言われたことがあるんですよ。(ダイジェストの)DVDは強い面もあるかもしれないですね。

「戦極」はそういう意味ではキャリアもあって、ブッキング力は一番強い。半期ごとのオールスター戦っていったら「戦極」だと思うんですね。

怨念JAP 僕の場合は全試合アップするからこそ、映像にめっちゃお金をかけてます。実際、きちんと編集された動画ではよく見えるってことがあるんです。

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