若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
配信文化などと結びつき、ブームを引き起こすTRPGにおいて活躍するクリエイターを追う連載「ゲームマスターたちの証言」。
今回は、ブームを支える「BOOTH」「ココフォリア」の中の人による対談を実施。プラットフォームの視点から見るTRPGブームとは。
クリエイター
この記事の制作者たち
現在、YouTubeでの配信文化などとも結びつきブームを巻き起こしているTRPG。
そのブームを支えているのが、シナリオやキャラクターイラストの流通の場となっている「BOOTH」と、データ管理やダイスの判定などオンラインでTRPGを遊ぶための様々な機能を持ったセッションツール「ココフォリア」という2つのWebサービスだ。
これら2つのサービスはTRPGユーザーから絶大な支持を集めるだけでなく、「ココフォリア」上での場面演出を豊かにするためのエフェクト・画像の素材がBOOTHに多数出品されているなど、シナジーを持ってユーザーに親しまれている。
今回は、TRPGブームで活躍するクリエイターたちを追う連載「ゲームマスターたちの証言」として、BOOTHのプロダクトオーナーをつとめる杉本紳一郎さんと、「ココフォリア」の開発者である鳥頭めうさんの対談を実施。
それぞれの目から見るTRPGブームや、どうやってTRPGに参画していったのか、クリエイターとも一味違った「プラットフォーマー」の視点から語ってもらった。
取材・執筆:安倉儀たたた 企画:うぎこ 編集:小林優介
目次
- 登場人物紹介
- 前日譚:はじめてのTRPG
- なぜTRPG素材はBOOTHで流通しているのか
- ユーザー数が〇倍に、BOOTHのデータから見る盛り上がり
- 「個人で長く運営する限界を感じた」ココフォリア開発への思い
- 「場所」としてのTRPGユーザーとの向き合い方
- TRPG二次創作ガイドラインの影響
- プラットフォーマーからみたTRPGの未来
- TRPGに取り込みたい新しい技術
2008年にピクシブ株式会社へ新卒として入社。エンジニアとして機能開発等に携わる。後にBOOTHの開発にも参加し、現在はBOOTHのプロダクトオーナーをつとめる。
Webサイト制作会社での業務を通じて技術やデザインについて学び、自分たちのサービスをつくってみたいとの思いからサービス開発を行う会社へ転職。そのころに趣味としてTRPGのツールである「ココフォリア」の開発を開始する。2021年に「ココフォリア」のほかTRPGシナリオ専用投稿サイトである「TALTO」の開発・運営を行っている。
──昨日は、お二人でTRPGを遊ばれたそうですね。杉本さんは人生初のTRPGだったとか。
杉本紳一郎さん(以下、杉本) BOOTHチームでTRPGやマーダーミステリーをやりたいねという話はしていたんですが、なかなか遊ぶ機会がなくて。KAI-YOU が企画協力していた「てぇてぇトレイン」の配信とか、ニコニコ動画の「実はめっちゃ面白いクトゥルフ神話TRPG」とか、気になる出演者さんのプレイ動画を観る程度でした。
鳥頭めうさん(以下、鳥頭) というのを聞いて、いい口実だなと思ってお誘いさせていただきました(笑)。
杉本 こういう時にTRPGでコミュニケーションをとるのは、さすがTRPGつよつよ勢だなと思いましたね(笑)。
──遊んでみてどうでしたか?
杉本 能力値の振り方とか、リプレイ動画等では見えなかったところも大事だとわかったし、やはりプレイヤーとして、登場人物を演じる経験が新鮮でした。楽しかったです。
鳥頭 『新クトゥルフ神話TRPG』で「悪霊の家」というシナリオを遊んだんですが、キャラクター作成時の参考として「1920年代のボストンに自分がいたとしたら、どんな職業についてみたいですか?」と聞いたら、杉本さんがちょっと考えて「ペテン師かな...」って言っていて(笑)。
僕もゲームマスターとして終始楽しかったです。
──BOOTHは、ユーザーさん制作の素材やシナリオ流通の場として現在のTRPGブームを支えているプラットフォームだと思います。お二人は、BOOTHでのTRPGの盛り上がりにいつ気づき、どのように見られていましたか?
杉本 最初のきっかけは、他の担当者がBOOTH内に「ボードゲームを出品する人がたくさんいる」ことに気づいたことでした。
その後、BOOTH内でボードゲームのWeb即売会「BOOTH Festival アナログゲーム回」を開催した時に「TRPGのカテゴリも設けて欲しい」という要望があり、2019年にカテゴリを追加しています。
それからはカテゴリとしてデータの分析ができるようになって、TRPGでは「シナリオ」が売れているんだというのを知りました。その後、2021年にTRPGライツ事務局からライセンス制度「SPLL」の発表があった時に「BOOTHにたくさんあったじゃん!」となりまして(笑)。
──TRPGのシナリオはもともと、pixivの小説カテゴリーによく投稿されていたように思います。
杉本 実は、僕がpixivに新卒として入って最初にエンジニアとして開発をしたのが小説機能だったんですよ。なので、それもSPLLの話が出てから調べて「そっちにもあったのか!」という感じでしたね。
鳥頭 僕もずっとTRPG文化を見てきたわけじゃないので把握しきれていないところもあるんですが、もともとTRPGにおけるユーザーコンテンツの流通はゲームマーケットとかコミックマーケットのようなオフラインの即売会で自作のシナリオ本を頒布するのがメインストリームだったんじゃないかと思います。
それに加えて、即売会に参加できない人にもシナリオ本を届けられる場所としてBOOTHみたいなプラットフォームがあって。それが、倉庫もやってくれて、手数料も安いということで利用者が増えてきたタイミングと、TRPGをオンラインで遊ぶ人たちが増えてきた時期が重なって、みんなが利用するようになっていったという風に見えていました。
──今はシナリオと同時に「『ココフォリア』で使えるイラストや素材が一緒に入っています」という出品も増えていて、さらなる盛り上がりを見せているように思います。
杉本 「シナリオ」というコンテンツだけではなく、「ココフォリア」で使えるイラスト等の素材などもつくり出されている点がユニークだと感じています。体験を取り巻く創作形態の多様性がすごい。
鳥頭 そういう動向は、僕らではなくてユーザーさんが盛り上げてくれているんだと思います。僕らが出来ることは、そういう風なムーブメントに寛容な空気をつくっていくことくらいです。
──BOOTHの中におけるTRPGというジャンルの規模感は、どう見えていますか?
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