TRPGは何が変わって、何が変わらなかった? ぱぱびっぷ×まだら牛インタビュー

Interview

Series

  • 2021.05.20 20:00:00

TRPGプレイヤーとして、配信者として、それぞれ長く活動してきたダイスタス・チーム。

彼らが見てきたTRPGの歴史と見据える未来とは……?

TRPGは何が変わって、何が変わらなかった? ぱぱびっぷ×まだら牛インタビュー

現在、YouTubeにおいて配信カルチャーと結びつきブームを巻き起こすTRPG。

登山を嗜み、その趣味を活かした『クトゥルフ神話TRPG』シナリオ『狂気山脈~邪神の山嶺~』を始め様々なコンテンツを制作し、高い評価を得ているクリエイター・まだら牛

生配信チェックサイト「Ustream Checker」関係者が集まったグループ・チェッカー卓のメンバーとして黎明期からTRPG配信を行い、シーン最古参でありながら現役最前線で活動を続ける配信者・ぱぱびっぷ

そんな2人は、3月に「ダイスタス・チーム」の結成と無料で遊べるTRPGシステム『エモクロアTRPG』を発表。これまでTRPGのルールブックといえば出版社が物理書籍を販売する形式が一般的だったなか、その大胆な試みは、大きな反響をもって迎えられた。もちろん、二次創作はもちろん商用利用を許諾するなどシステムとして考え抜かれていることは言うまでもない。

今回は、そんなダイスタス・チームの2人にKAI-YOU.netとKAI-YOU Premiumにて連動インタビューを敢行。

KAI-YOU.netでは『エモクロアTRPG』について、KAI-YOU Premiumでは2人の見たTRPGの歴史や仕掛け人としての今のTRPGシーンに対する考えを聞いている。

取材対象:ダイスタス・チーム(ぱぱびっぷ・まだら牛) 取材・執筆:安倉儀たたた 企画:うぎこ 編集:小林優介

目次

  1. 謎につつまれた2人の活動経歴
  2. 実況者コミュニティがめぐり合わせたぱぱびっぷとまだら牛
  3. いつのまにか「アイドル」になっていた
  4. 動画は視聴者が、配信はプレイヤーが外に広がった
  5. TRPGブームの起爆剤、VTuberを呼び込んだ理由
  6. TRPGは「見られる」ことがあたりまえになってきている
  7. キーワードは「関係性」女性ファンの割合は?
  8. 今のTRPGは「うちよそ」に似ている
  9. 真逆を向く2人が見据えるダイスタス・チームの未来

謎につつまれた2人の活動経歴

──お2人はTRPG配信者としてのイメージが強いですが、活動歴も長くどういった活動をしてきたのか全貌を把握している人は少ないと思います。

ぱぱびっぷ たしかに。

ぱぱびっぷさん

ぱぱびっぷさん

まだら牛 僕ら結構謎だよね。

まだら牛さん

まだら牛さん

──お2人は、TRPGにはどのようにして出会ったんですか?

ぱぱびっぷ TRPGとの出会いは配信を始めてからですね。

一番最初の話からすると、「2ちゃんねる」(現在は5ちゃんねる)に、当時「ニュー速VIP」板の「ハンゲームで麻雀をやりましょう」スレというのがあったんです。名前そのままオンラインゲームコミュニティサイトの「ハンゲーム」で麻雀を遊ぶんですけど、誰が「VIP」から来た人かわかんないから、アカウントの後ろに「◯◯VIP」って付けていたんですよ。ぱぱびっぷの「びっぷ」もここから来ているんです

まだら牛 その名残が今でも続いているんだ。

ぱぱびっぷ そうそう。そこに「ハンゲVIP卓」というハンゲーム内のコミュニティがあって、デジタル麻雀で有名なとつげき東北さんがいたんです。彼がUstream Checkerで配信しているのを見て、自分でも配信を始めました。

麻雀統計学講座第1回その1【とつげき東北】

──最初は麻雀配信をされていたんですね。

ぱぱびっぷ そうなんです。Ustream Checkerにはゆるい配信者間の繋がりがあって、ある時配信者のコウノスケ君がTRPGの配信を始めて。僕はそれまでTRPGなんて全然知らなかったけど、参加させてもらったら超面白くてハマり出したんです

まだら牛 僕はパソコン通信の時代とか知らないんですよ。インターネットに繋がった時は最初から光回線だったし。

ぱぱびっぷ こわ(笑)。

まだら牛 TRPGと出会ったのは大学3年の時です。当時『高機動幻想ガンパレード・マーチ』というゲームにハマっていたんですが、それをつくっていたアルファ・システムが『アルファ・システムサーガ』というファンブックを出したんです。

『アルファ・システムサーガ』/画像はAmazonから

アルファ・システムサーガ』/画像はAmazonから

まだら牛 その巻末に「Aの魔法陣」っていうTRPGのルールブックが付いていて、それがTRPGという言葉を知った最初のきっかけでした。当時はBBSと言われていた掲示板上で「Aの魔法陣」を遊ぶイベントがあって、文字だけでやりとりして遊びました。

──テキストセッションだったんですね。

まだら牛 そうです。僕は当時関西にいたんですが、ある時オフ会があって、そこに『ダブルクロス(The 3rd Edition)リプレイ・デザイア』とかを書いている、加納正顕さんがいらしていて。それから色んなセッションに誘ってださって、F.E.A.R.の『トーキョーN◎VA』とか冒険企画局の『迷宮キングダム』とか様々なTRPGシステムを遊ばせていただきました

ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(1)星影の魔都』/画像はAmazonから

『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(1)星影の魔都』/画像はAmazonから

──『クトゥルフ神話TRPG』もその頃に遊ばれていたんですか?

まだら牛 当時は『クトゥルフ神話TRPG』が流行る前だったので、その頃は全然遊んでないですね。

『クトゥルフ神話TRPG』は、アメリカのケイオシアム社が同社のベーシックロールプレイングシステム(BRP)(注1)というルールのフォーマットを採用してつくったもので、僕がBRPを採用したゲームで最初に遊んだのは『ストームブリンガー(Stormbringer)』というシステムです。

(注1)BRPは、ケイオシアム社のTRPGシステム『ルーンクエスト』から生まれた、TRPGシステムをつくるための汎用RPGシステム。プレイヤーは各技能にポイントを割り振り、そのポイントを目標値としてダイスを振って判定するなどの特徴を持ち、『クトゥルフ神話TRPG』はBRPという大枠のルールを「クトゥルフ神話」の世界観に合うようカスタマイズすることでつくられている。

『MICHAEL MOORCOCK'S ストームブリンガー』/画像はAmazonから

『MICHAEL MOORCOCK'S ストームブリンガー』/画像は楽天ブックスから

実況者コミュニティがめぐり合わせたぱぱびっぷとまだら牛

──ぱぱびっぷさんとまだら牛さんの出会いはいつごろだったのでしょうか?

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