VTuber活動の王道「ゲーム実況」で心がけるべきこと──連鎖性と権利問題
2023.06.30
高生紳士流、キャラクターのプロデュース術──。
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前編では「人を集めるために片っ端からDMを送っていた」「狂気山脈は裏で16回は回した」など、TRPG愛に突き動かされるままに卓を立ててきたエピソードを明かしてくれた高生紳士さん。
そうしたアグレッシブすぎるGM(ゲームマスター)活動に加え、高生さんが精力的に行っているのが、TRPGのキャラを演じる中で生まれた自作キャラクターのプロデュースだ。
キャラの人気投票を行うバレンタイン企画、キャラが戦う天下一武道会、キャラごとの歌ってみたやオリジナルソング、グッズ販売など、さまざまな形で過去のキャラクターを題材としたコンテンツを展開している。キャラクターを生かし続けるようなこれらの動きによって多数のファンアートが生まれているほか、キャラに愛をこめるプレイスタイルの浸透など、界隈への影響も大きい。
高生さんはどのような思いで、こうした活動に取り組んでいるのか? 後編では、子供時代から話を広げ、過去どんなシナリオやキャラクターとの出会いがあったのか、そのルーツから紐解く。
高生紳士流、キャラクターのプロデュース術──。
目次
- リーダー気質の子ども時代を経て、腐男子の道へ
- 初めてNPCにこじらせてしまう 「狂気山脈」まだら牛との出会い
- 「むつーには本当に感謝してます」壊胎・傀逅をプレイして起こった変化
- 「自分が好きなキャラしかつくらない」キャラメイクの変化は周囲にも
- どんなキャラクターでももう一度立てる場をつくりたい
- プロデューサーであり、ファンでもいられるのは「好き」だからこそ
──高生さんは子どもの頃、どんなタイプでしたか?
高生紳士 小さい頃は結構リーダー気質で、クラスの中心にいるタイプでした。体育祭の準備をする体育委員もやっていて、みんなをまとめたり、指示を出したりするのが好きな幼少期だったんだと思います。ゲームとかは全然してなくて、いつも公園で遊んでたんですよね。今と違って、当時はいわゆる陽キャだったんです。
──ポケモンとかマリオとか、流行っているゲームもたくさんあったと思うんですが、そういうものには触れてこなかったと。
高生紳士 やってはいたと思うんですけど、あんまりのめり込んだ記憶はなくて。友達とスマブラとかはやってましたね。これは小さい頃から今も変わらないんですけど、遊ぶときに誰かがいないと駄目だったんです。
というのも僕は1人っ子で親も忙しかったので、一緒に遊んでくれる存在を自分なりに探していたんだろうなと。僕が所属している配信者グループ「あたたかくなる」には今13人いるんですが、僕以外全員兄弟がいて、1人っ子は僕だけなんですよ。
──そこから、どういう流れで配信文化に出会っていったんでしょうか?
高生紳士 昔はヤンキーとまでいかないけれども、喧嘩とかもしていたんです。今の自分だったら考えられないようなことを昔はしていて、インターネットにも接点がないタイプだったんですけど、きっかけは仲のいい友人がオタクになったことですね。
その友人がゲームやネットをやることが増えて、一番の親友だったんでいろいろ話を聞いていて。それで、最初はAmebaやGREEの使い方を教えてもらったんです。先ほど話した通り人と関わることは好きだったし、ゲームは1人でやるものというイメージがあったんですけど、SNSなら交流ができるので、ちょっとやってみるかと思って始めてみました。
そのSNSの一つで、今のあたたかくなる・ピースアパートにもいる水凪自由くんと知り合ったんですよね。それが、僕がインターネットに出ていくきっかけでした。
──自由さんとの付き合いはかなり長いんですね。
高生紳士 そうですね。自由が「2人で何か面白いことやらねーか」って誘ってくれて、ニコニコ生放送デビューしたんですよ。「凸待ち」という、全く知らない人がSkypeで凸をしてくるという文化があって、そこでピースアパートのメンバー何人かとも出会いました。そうしてグループを形成していったのが、僕の今の活動にも繋がる始まりですね。
──高生さんのニコニコ動画チャンネルでは、最初からTRPGというよりは声真似や歌動画の方が人気コンテンツだった印象です。
高生紳士 確かにTRPGの前は、声真似や替え歌の人でしたね。自分が心の底から好きだと思うものを、「俺これめっちゃ好きなんだぜ」ってアピールする活動がすごく好きで。それは今も変わらないですね。当時は『刀剣乱舞』『あんさんぶるスターズ!!』『おそ松さん』とかが大好きで、今はその好きなものがTRPGになった感じです。
──でも先ほどのお話だと、あまりオタクではなかったんですよね。それらの作品はどうやって知っていったんでしょうか?
高生紳士 やっぱりネットを触り始めて、そういう知識が入ってくるようになったのかな。あとはオタク的なハマり方ではなかったというだけで、昔から漫画やアニメも見てはいたんですよ。自由と出会ったのも、『デュラララ!!』の紀田正臣が好きという共通点があったからなんです。
ハマるのが遅かっただけで、もともとオタクの気質はあったんだと思いますね。ニコニコ動画を見るようになって、どんどんのめり込んでいった部分もあります。
──わかりました(笑)。そこから今や、BLもたしなんでいらっしゃるとのことで。
高生紳士 古本屋さんで堂々とアンソロジーが売られていて、それを原作だと思って買っちゃったという、すごくわかりやすいエピソードがありまして……。「なんだろうこれ、絵柄違うな」と思いつつ、今振り返るとあれが腐への入り口だったんだと思います。
僕の周りの腐男子やBL好きも、アンソロを通った人は多いです。お姉ちゃんが持っていたとかで。僕は二次創作のアンソロを入口として、次に女装男子の世界に進みました。男の娘専門の雑誌とか、男の娘限定のアンソロジーがあるんですよ。
女装男子から男同士が好きになっていく流れも結構あるあるなんですけど、僕はまさにそれでした。そこから『純情ロマンチカ』のような「かっこいい男の子とかわいい男の子」という王道な組み合わせにハマって、今に至ります。
──前編でも名前を挙げられていた、クトゥルフ神話TRPG「狂気山脈~邪神の山嶺~」(以下、「狂気山脈」)についてもうかがっていけたらと思います。KAI-YOUでも「狂気山脈」関連でたくさん取材・企画していて、いろんな人のターニングポイントになったシナリオだったなと。
高生紳士 それは間違いないと思います。僕にとってもでかい存在ですね。
──高生さんが「狂気山脈」というシナリオを知ったのはいつでしたか?
高生紳士 「狂気山脈」は、むつーに「PL(プレイヤー)をやらないか」って誘われたんですよね。それで「一緒に遊ぶの誰がいい?」と聞かれて、その1つ前の卓で一緒だったにどみくんと、あと天開司くんに声をかけました。僕の方からはむつーが知らない僕の知り合いを連れて行った方が、お互い今後の交流に繋がるかなと考えたので。
それで「狂気山脈」を回してもらったんですけど、そこでとあるキャラクターが大好きになって、こじらせてしまうんです。
──コージー・オスコーですね。NPCのことをそんなに好きになったのは初めてでしたか?
高生紳士 初めてでした。僕、前編でもお話しした通り、裏を含めて本当にたくさんの卓やってるんですよ。知り合いの中でなら、僕が一番多くのシナリオを知ってるぐらい遊んでるんですけど、今までNPCにこじらせたことって実はあんまりなかったんです。「いいキャラクターだな」とか、「KP(キーパー)やってて面白そうだな」はあっても、「好き」とか終わってからも「また会いたい」みたいな感情は初めてでした。
ただこれは、自分がどんなキャラで参加したかがすごく大きいと思います。これまでにも魅力的なNPCはたくさんいたんですけど、僕が連れて行ったキャラに「そのNPCを守りたい」とか、「このNPCのために動きたい」という感情が芽生えなかっただけで。
コージーくんの場合は、僕が連れて行ったキャラも「絶対にお前を守る」って言ってしまったし、気持ちを重ねてしまったというか。それも相まってこじらせたのかなと思っています。
──シナリオ作者のまだら牛さんとは、そのときはまだお知り合いではなかった?
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