「表現の自由」は、規制論への対抗言説になるか? 憲法と法律から考える
2023.02.10
日本一のMCを決めるMCバトル大会「KOK」の2022FINALのレポートを前後編の2回に渡ってお届け。
「KOK」が放った強烈なメッセージ。それぞれの試合の解説──ラッパー・ハハノシキュウが紐解く。
クリエイター
この記事の制作者たち
その時思ったんだ、もう諦めちまおう、何もかもどっかに全部捨てちまおうって。だけどKMC『KING』
目次
- 1回戦第6試合 裂固 vs ORYO(Classic Beats STAGE)
- 1回戦第7試合 晋平太 vs K-rush(ksmn STAGE)
- 1回戦第8試合 SILENT KILLA JOINT vs ふぁんく(Phonk Gee STAGE)
- 今が2周目 KOKが舵を切った道に寄せて
- 2回戦第1試合 S-kaine vs REDWING (呼煙魔 STAGE)
- 2回戦第2試合 MOL53 vs CIMA(DIGITAL NINJA STAGE)
- 2回戦第3試合 REIDAM vs 裂固(GRADIS NICE STAGE)
- 2回戦第4試合 K-rush vs SILENT KILLA JOINT(MASS-HOLE STAGE)
- 準決勝第1試合 S-kaine vs MOL53(GATTEM G JONES STAGE)
- 準決勝第2試合 裂固 vs SILENT KILLA JOINT(Gerardparman STAGE)
- 決勝戦 裂固 vs MOL53(LIBRO STAGE)
僕も経験があるが、自分の試合の前の試合が延長続きだと集中力を保つのが本当にしんどい。
「マジで早く終わって、楽にさせてください」としか思えないマインドになる。
特に一回戦だと自分の調子とかお客さんからの歓迎具合とかもわからないから余計ナーバスになる。
早くラップとしてこの気持ちを吐き出して楽になりたいと思いながら、観ていた試合が延長だと張り詰めた線が今にも途切れそうになってしまう。
そういう意味じゃ口喧嘩祭のルールは本当に狂ってるとしか思えない。
全ての順番がクジ引きであるため、精神的苦痛が敗北するまでずっと続く。
そんな口喧嘩祭代表のMCが裂固だった。
この日のメンツで最も知名度が低いのがORYOという和歌山代表のMCだった。
のびしろという点で言えば、彼が一番だろう。パフォーマンス次第では他の誰よりも飛距離を出すことができる。
大舞台においてこういう立ち位置の人間が一番怖かったりする。対戦相手が油断しやすいのもその一因を担っている。
しかし、この日の裂固くんの顔つきには油断のかけらもなかった。ここまでの流れでプロップス通りに順当勝ちできる空気でないこともあるが、それよりもシンプルに裂固くんが集中していたのが大きいと思う。裂固くんはかなり早い段階で舞台袖にスタンバって、他の出演者から距離を取っていた。(蛇足だが、晋平太さんは姿すら確認できなかったため、おそらくかなり気合いが入っていたと思われる)
バトルにおいてラッパーのヤバさを判断する時、普通は試合全体のパフォーマンスの出来を指標とするが、時々それを飛び越えてしまうケースがある。
知名度の低い若手のラッパーがたくさん参加している小箱のMCバトルなんかでよく見る風景なのだけど、“歌い出しの1秒”でほとんど勝敗が決まってしまうことがあるのだ。
声の張りだったりビートにスピットする瞬間の感触だったり、ほんの1秒で「あっ、こいつはヤバい」と悟ってしまう、そんな刹那が実際にある。
この試合のビートはClassicBeatsで、他の試合に比べて乗るのが難しそうな俗に言う変態ビートというやつだった。
先攻のORYOが及第点の乗り方で観客を盛り上げる。知名度の割にはしっかりと大舞台でかませていたと思う。
しかし、後攻の裂固が声を出した瞬間、ガラッと空気が変わったのを覚えている。
“歌い出しの1秒”で格の違い、調子の違い、集中力の違い、あらゆる側面でORYOに勝ってしまっていたのが明白だった。
その直感を証明するように試合の内容は裂固に大きく傾いていた。はっきり言ってここ最近の裂固の中で一番調子が良い。
ここまでずっと僅差のバトルが続いていただけにこの結果は印象深かったと思う。
観客、審査員、全ての票が裂固に上がる。
本日、初めての満場一致。勝者は裂固だった。
この試合に関しては晋平太さん本人が解説動画を上げているし、その解説が完璧だったため僕が似たようなことを言語化する必要もないような気がする。
早速YouTubeに公式動画も公開されているため、 なおさら僕があれこれ言及するのも野暮に感じる。
試合結果は本当に僅差でK-rushの勝利だった。
一人の観客としてもこの結果には納得している。
晋平さんが敗者コメントの時に噛み噛みで笑えない感じに上手くしゃべれていなかったため、少し心配だったがYouTubeを見る限り元気だったし自己俯瞰もできていたため安心した。
この記事の流れで、触れておかないといけない部分があるためそこだけ言及したいと思う。
同音異義語踏みと数字ネタについてだ。
一般の観客と一緒にフロアで観ていた温度感からの感想だが、リリックの完成度とか言葉遊びの上手さに意識がいかない環境だったと思う。
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