Interview

Series

  • 2025.01.19

ネットラップとは何だったのか? ネット生まれニコ動育ち、ラッパー3人で振り返る

ネットラップとは何だったのか? ネット生まれニコ動育ち、ラッパー3人で振り返る

インターネットでの投稿や交流に端を発する「ネットラップ」、ニコニコ動画で隆盛した「ニコラップ」と言われるジャンルを象徴するラッパーたちが、とある曲で集った。

ラッパーのJinmenusagiのリリースした「Opp Otaku」のREMIXに呼ばれた、「ニコラップ」の先駆者であるらっぷびと。そして、RainyBlueBellやFAKE TYPE.でも知られるトップハムハット狂 a.k.a. AOの3人だ。

3人で顔を突き合わせて語り合うのは初めてのこと。実は、「Opp Otaku」は一部のプレイヤーから反感を買ってもいたことが明かされる。

前編に続き、今こそ、ネットラップやニコラップのこと、それを現代にどう接続させてきたのか、三者三様の立場で語られる。

目次

  1. 祭りとしての「World Wide Words」
  2. 見たいものしかみない、暇、セルフプロデュース……ネットラップを紐解くキーワード
  3. 「ニコニコ動画」が、今に残したレガシーとは?
  4. ネタとガチ、つくり手に求められるようになったリテラシー
  5. 「Opp Otaku」Remixが生んだ波紋
  6. ネットラップは、公園だった?
  7. 10年後の、「ただラップしてる大人」たち

祭りとしての「World Wide Words」

──らっぷびとさんが2013年から主催しているネットラッパー専門のイベントである「World Wide Words」(WWW)は非常に大きな影響力を持っていたと感じます。当事者からすると、「WWW」とはどういったイベントだったのでしょうか?

らっぷびと 経緯としては、俺が2013年から主催としてイベントを打つ以前に、不定期に3回、初期の「WWW」が別の運営で開催されていたんです。その時はまだネットラップというものもジャンルとして確立されていない時期で、俺はそこに第一回目から参加させてもらっていた。

ちなみに、「WWW」のタイトルをつけたのも俺じゃなくて、RANSELのTOSHIKIなんです。すごく良いタイトルだなと思ったので、自分がイベントを開催する時に名前を継承しました。だからマインドとしては、「WWW」は自分のイベントというよりも、「みんなのオフ会」みたいなものだった。

らっぷびと

らっぷびと

トップハムハット狂 俺はらっぷさん主催以前の「WWW」には行けていないんですけど、確かに普段ネットでしゃべったり遊んだりする人たちが一堂に会する場所でしたね。みんな20代前半とかで、今振り返ると青春というか。あと、開催時期が夏でしたよね? 夏に北海道から沖縄まで、各地に住む友達が一斉に東京に集まるから「逆お盆」だな、とも思っていた(笑)。

Jinmenusagi 確かに(笑)。その時期、東京に滞在してコミケとかも楽しむ人がいたり(笑)。夏休みだから一大イベントでしたよね。

トップハムハット狂 そうそう、「WWW」は本当に祭り感があった

らっぷびと ネット上で活動してるから、みんな住んでる場所が北海道から沖縄まで全国各地で、ほいほい会えない分、年一の大事なオフ会だったんだよね。

8年前に開催された「World Wide Words 2016」の現場

──らっぷびとさんは「ニコラップ」という言葉の創設者でもありますが、イベントのムーブメントを意識的につくっていこうという意識があったのでしょうか?

らっぷびと 自分からムーブメントをつくろうとは思っていないんですけど、ニコニコ動画でニコラップというタグがつくられて、メジャーデビューまで決まった当時、一緒にやっていた仲間が「らっぷびと」という神輿を担いでくれようとしてたように感じていて。だからムーブメントにしようとしてたのは、周りの友達だったのかもしれない。ただ、それに報いる形でみんなが集まってこの祭りを楽しめる場所をつくりたい、というのはありましたね。それが今でも続いているというか。

Jinmenusagi ネットラップのコンピレーションCDもありましたしね。ネット内のいろんな人たちが共通の目的を持って集まれる場所があったというのは、活性化に繋がると思いますし、そういう企画力がある人が1人はいないと、たぶん形として残っていないと思う。それがらっぷさんだったという印象がありますね。

見たいものしかみない、暇、セルフプロデュース……ネットラップを紐解くキーワード

──前編でもあったように、ネットラップというジャンルは多様なスタイルを持つクリエイターが集まっていたため、現象自体を言葉にするのは難しいですよね。ただ、その中で共通点というのをあえて挙げるとするなら何だと思いますか?

  • 800本以上のオリジナルコンテンツを読み放題

  • KAI-YOUすべてのサービスを広告なしで楽しめる

  • KAI-YOU Discordコミュニティへの参加

  • メンバー限定オンラインイベントや先行特典も

  • ポップなトピックを大解剖! 限定ラジオ番組の視聴

※初回登録の方に限り、無料お試し期間中に解約した場合、料金は一切かかりません。

法人向けプランはこちら
10日間無料でおためし