若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
G PLANTSは、2人がいない間も、同じ年のD BUBBLESとラップに励む日々が続いていた。
ナンシーと共に、徐々にライブに呼ばれる回数も増えていくものの、ナンシーの離れていた嫁が家に戻り、子守のためにライブに参加できないことが増えていた。
そのため、49とは異なるチーム名として名付けられたのが「舐達磨’s」だった。これが後に舐達麻となる。
1年を経て少年院から戻ってきたBADSAIが「ナンシーと一緒にやる必要はない、俺たちは俺たちでやっていけばいい」と決めて、舐達麻は独立してその活動が始まった。
「で、俺は速攻ポン中になるんすよ。少年院出たばっかで草でも吸うかなって先輩に連絡したらいきなり×××持ってこられて。
全然興味なかったし『ダメ絶対』って言われてたからダメだろうなくらいの感覚。でも、草もたまたまあったから吸って、吸ったらダメじゃないって気付いただけだから、×××がダメってのもやっぱり国からの洗脳なんじゃねーかって。調べたけど実際どうなのかよくわかんなくて、一回やるしかねーなって打ったんですよ」(BADSAIKUSH)
それから2年間、毎日×××を打ち続ける日々が待っていようとは夢にも思っていなかった。
ただ、リリックをかけるようになったきっかけも“それ”だった。
舐達麻にいながら、BADSAIだけは当時まだラップをやっていなかった。×××を覚えて3回目、先輩と駐車場で打っている時、「リリックがとまんなくなったんすよ(笑)」。
「俺もみんなみたいにラップやりたい、リリック書きたいって気持ちがあったけど書き方なんて全然わかんねーし。でも、そんときに書き方がわかったんです。そっから一生始まった」
×××については、G PLANTSははじめから反対していた。
数日寝なくても平気で、ろくに食事を摂らなくても身体は動く。「子供だったから、薬物との向き合い方がわかってなかった」とはBADSAI。
「俺は一回もやったことなくて。偏見とかはなかったけど、みんながどんどん変わってく姿を見て、『やめたほうがいんじゃない?』って。別にそんな強く止めたわけでもないんですけどね。
全然違うもんじゃないですか。シットと×××って。ユウタ(BADSAI)と一緒に打ってためっちゃくちゃ怖い先輩がぶっ壊れていくのも見てたから、ユウタもそうなっちゃうんじゃないかなって」(G PLANTS)
事実、心と身体を蝕まれていくBADSAIは、自分でも止めなければいけないと自覚はしていた。「無知だったのもあるし、実際病んでてもおかしくない状況だったよね?」。
「1.0.4が死んでもう俺は一生折り合いつけられないって思ったし、幼馴染はあと3年は(刑務所から)出てこない。四つ上の先輩たちは全員ヤクザになってた。
勘繰りとかも酷くなって。やめようとしたけど、可愛がってくれてる先輩からいつでも手に入る状態だったから」(BADSAIKUSH)
それでもなんとか断ち切っていった。そして、一度“書き方がわかった”リリックを武器に、舐達麻としての武器を磨いていく。
この時期、舐達麻にとってのもう一つの“分岐点”が存在する。
暴走族時代から世話になった先輩たちは、今や全員がヤクザだ。昔から事務所には顔を出して、「料理がめちゃくちゃうまい」組長にいつもご馳走になっていたという。
当たり前の成り行きとして、BADSAIも組に誘われるようになる。「ガキの頃と違って、接待室に通されて『おまえもなれよ』って言われたんです。それで広井に『どうする? おまえがやるなら俺もやる』って手紙を出したら、広井が『それはやめよう』と言うからやめたんです」。この時、DELTAが「やる」と言っていれば今の舐達麻は存在しなかった。
どうして「やめよう」という結論を出せたのか。暴走族時代から育てられてきた先輩の誘いを断れたのか。「自分は、ただそれ以外のことで生計を立てたいって思ったんですよ」。DELTAは静かに答える。
そうして出所してきたDELTAを迎え4人になった舐達麻は、ラッパーとしての道を選んだ。
「でも、結果的に、どんどん似ていく自分たちもいたよね」とBADSAIが言うと、「そうだね、似てきてた」とDELTAも同意する。
「援交狩りとか、俺らはあくまでやってはいけないことをしたヤツをぶっ飛ばして金とってるだけって思ってたけど、完全に正当化だった」(BADSAIKUSH)
淡々と、時には饒舌に語る3人の目は爛々と輝いている。
そこに狂気を感じ取る人間もいることだろうが、自分たちのことを俯瞰する冷静な態度も同居している。「草のおかげだよね。草吸ってるから」。BADSAIはこともなげにそう答える。
「コカインとかだったら全然違ったはずです。草を大量に吸ってきたから、ちゃんと自分の頭で考えられるようになった」(G PLANTS)
「そうだね、それはある」(DELTA9KID)
「Weed吸えば当たり前で、ガキの頃と比べても、圧倒的に良いリリック書けるようになってますよ」(BADSAIKUSH)
すべてはWeedのおかげ。そう公言してはばからない3人。
昔は迷惑をかけていたのかもしれないが、現在、両親との関係も好調だという。メンバー全員を可愛がってくれるBADSAIの母は、みんなから慕われている。
「今、アフロディーテを会社にしようとしてるけど意味わかんなくて、母ちゃんに一任してるんですよ。(ヒップホップグループ)SCARSのSACさんが俺らのマネージャーやってくれてて、2人で連携とって動いてくれてます」(BADSAIKUSH)
なお、2009年の後もBADSAI、DELTA、D BUBBLESの3人は大麻取締法違反で逮捕、実刑判決を受けて服役していた。再び2人が戻ってきたのはこの1年以内のことだ。
同じく刑期を終えているD BUBBLESは、そのまま消息不明に。
「喧嘩したわけじゃないし、今も会いたいんですよ。けど、なんでだか連絡がとれないんですよね」(G PLANTS)
この後、BADSAIの自宅に移動し、話はさらに深まっていく。
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