自信と、焦燥と、「現場」という閾
2019.12.26
本稿は、Webメディア「KAI-YOU」にて2025年11月に公開された記事を再構成したものです。
VTuber、ゆるキャラ、ラッパーと独自すぎる経歴を辿ってきた唯一無二の存在・オシャレになりたい!ピーナッツくんによるバーチャルライブ「PQ(Peanuts Quantum)」が11月23日に開催された。
ヒップホップフェスに参加し、自身でも数々のリアルイベントやバーチャルライブを開催するなど、様々なフィールドで表現活動に取り組んできたピーナッツくん。今回のライブは、そんな彼の「1つのゴール」として位置付けられている。
ピーナッツくんのちょっとズレた話。 pic.twitter.com/oQzK1l3dcZ
— オシャレになりたい!ピーナッツくん🥜 (@osyarenuts) November 5, 2025
開催を記念して聖地・原宿の竹下通りをジャックするなど、ライブ前からかなりの力が入っていることが伝わってきていた。そしてそれに応えるように、全国70の映画館で行われたライブビューイングは複数の会場で完売。見守るファンたちの期待も大きくなっていた。
最新アルバム『Tele倶楽部II』に参加したラッパー・漢 a.k.a GAMIさん、PUNPEEさん、Daokoさん、シンガーの幾田りらさん、hololive DEV_ISに所属するVTuber・轟はじめさんのゲスト出演も予告され、かつてない規模での開催となった「PQ」。
誰にとっても忘れられない夜となることを予感させる一世一代の大勝負の模様をレポートしていく。
目次
- 開始の宣言はもちろん「My Name is ピーナッツくん!」
- 思い出を詰め込んだ子ども部屋から、広がりゆく世界
- 目まぐるしく転換していく舞台の上で
- 次なる舞台で待ち受けるのは、いつもの仲間たち
- 魔界ノりりむから与えられたまさかの「公認」
- できたらいいなじゃなくて、できるまでやんだよ
- 煌びやかなダンスフロアから──急転直下
- ここは天国か地獄か? 舞台は摩天楼へ
- まぁ気楽にいこう、生きても死んでも変わらんよ
- 薄れゆく記憶、それでも音楽は続いていく
- ピーナッツくん復活!……だけど様子がおかしい?
- 世界も、自分の体も──ぶっ壊してつくり直す
- 僕の名前はピーナッツくん、オシャレになりたーい!
- 僕だけじゃない、みんなのストーリーなのさ
- 全てを締めくくるメッセージ「だからみんなと出会えたんだ」
「ん?始まってるコレ?」
定刻通りに姿を現したピーナッツくん、その姿は子ども部屋にあった。生配信・生中継でのライブとなることが発表されていた本公演だが、普段の配信のようなゆるい始まりによって、その”生”感がさらに強調される。
コメント返しや各会場への呼びかけで徐々に熱を高めたところで、ゲーミングチェアから部屋の中央へ降り立つピーナッツくん。「盛り上がる準備はできてますか!?」と煽ると地鳴りのような重低音が部屋を揺らす。
子ども部屋からはじまった、ピーナッツくんの世界/画像はピーナッツくん公式Xから
深紅のライトに照らされながら「My Name is ピーナッツくん!レぺゼンMother Fuckin’バーチャルYouTuber!」と叫んで始まった一曲目は「SuperChat」!
タイトルの通り自身を含めたVTuberカルチャーと密接に関わる「スーパーチャット」を壮絶に皮肉るナンバーで超攻撃的にライブをスタートしていく。もちろん愛と悪ノリに溢れたスーパーチャットが滝のように浴びせられ、轟く銃声と共にファニーな部屋をハードに彩った。
あまりにも荒々しいオープニングを経て、写真が貼り付けられたニューヨークの地図や豆型の地球儀など、思い出深い品々が詰め込まれた子ども部屋を見渡すと「人から言わせれば、僕はKidsRoomManなんて言われちゃうのかな~」と丁寧に振って「KidsRoomMan」へ。
シャウトが凄まじかった一曲目から一転、幻想的な調べにリズミカルなフロウを乗せていき、圧倒的な表現力と共に調子の良さを表明すると、部屋にはシャボン玉も舞ってファンシーな空気が漂う。
「そういえばそうだった、僕はこの子ども部屋から『オシャレになりたーい!』と思ってたんだった」
大事な原点を思い出したところで「このけや、この部屋から始まり、この部屋で終わる。そんな物語を一緒に楽しんでいこう~」と甘噛みしながら宣誓すると、今度は本当の地鳴りと共に部屋が崩壊していく。
往年のコント番組のように綺麗に壁が倒れると、そこには青い空と果てしない草原が広がっていた。
「ここ滋賀?」と考察班から鋭いコメントがぶつけられるも、呆然と立ち尽くすピーナッツくんだったが、誰も状況を掴めない中で困惑していると次の曲が流れだす。
子ども部屋の外に広がる、広大な世界/画像は画像はピーナッツくん公式Xから
空を漂う雲のような浮遊感が楽しい「ピーナッツくんのおまじない(feat.チャンチョ &オレンジ博士)」を歌っていると、部屋を飾っていた家具たちが次々と消えていく。
担当パートを歌うためにチャンチョも登場し、気づけば草原には花が咲き、ピーナッツくんもノリノリで踊りだして不安そうな表情も消えていった。
それはそれとして「ここは一体どこなんだ?」とピーナッツくんが問うと、「この道を進んでいけばわかると思うよ」と意味深に答えるチャンチョ。導かれるままに走り出して、続く楽曲は「CTP」。
爽やかなサウンドと共にグングン進んでいくピーナッツくん。いつの間にかスケボーに乗っているチャンチョも、短い足で華麗にキックフリップをキメて晴れ舞台に華を添える。
次なる舞台へと走りだすピーナッツくんとチャンチョ/画像はピーナッツくん公式Xから
「Car,Train,Planeに乗って世界征服を目論むんだ」と力強く歌い上げながら、変わりゆく景色の中を駆け抜け、辿り着いたのは街の広場だった。
屋台やシアターなどピーナッツくんの記憶を呼び覚ましそうな建物の並ぶ街の風景からカメラが引いていくと、薄く月ちゃんも浮かぶ青空に、今回のライブタイトル「PQ」が映し出された。
あまりにも壮大な旅の始まりは、さながら劇場版「オシャレになりたい!ピーナッツくん」の様相を呈する。
ここからが本番と一気にテンションを上げて突入したのは「Yellow Big Header」だ。
チャンチョだけでなく、コバルト田中やオレンジ博士、ウーバーイーツ食べ食べ子ちゃんやルーズソックスガールズなどアニメに登場してきた多くの仲間たちと共に「ドラゴン フェニックス ユニコーン マーメイド」の大合唱でボルテージを最高潮へ引き上げる。
たどり着いた街で待っていた仲間たち/画像はピーナッツくん公式Xから
お祭り騒ぎで盛り上がっているとすっかり星空に包まれる街並み。
感慨深く夜空を眺めるピーナッツくんが「これから何をしようかな?」とこぼすと、「ワシがツレと出会ったバーがあっての、そこに行けば女の子がいっぱいおるぞ~」と5歳児にするには生々しい提案をするオレンジ博士。
あくまで乗り気ではない姿勢で暗い路地を進むピーナッツくんだったが、やがてポツンと照らされた入口に辿り着く。恐る恐る扉を開けると中には電話ボックスがあり、誘うようにベルが鳴り響いている。
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