若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
「漫画動画」という単語にピンと来なくても、YouTubeを眺めている人は一度は必ず目にしたことがあるはずだ。
インターネット上で勃興する一大ジャンル、その製作の裏側を覗いてみた。
クリエイター
この記事の制作者たち
「韓流アイドルの下積みが壮絶すぎる話。完全監視」「好きでもない男性と結婚するとどうなるのか?間違った結婚をした女の末路」
YouTubeをなんとなくスクロールしていると、こういった動画が出てくる時がある。
「OOの実態」「地獄の人生」「依存」「ヤクザ」「壮絶」といった、つい目で追ってしまう存在感のある言葉が並ぶタイトルと、赤・黄色・黒など、鮮やかで目を引くマンガ調のイラストが組み合わされたサムネイル。
タップするとタイトル通り、韓流アイドルの壮絶な競争社会や、スペックだけで結婚した主人公の地獄のような結婚生活、数万人に一人と言われる奇病に罹患した人生、死刑囚の最期といった普段見聞きしないストーリーが、マンガのように再生される。登場人物たちのセリフや効果音を声優が再現している動画も多い。
ここ最近、マンガを一コマずつ動画化し、YouTubeで見たり聴いたりできるようにした「漫画動画」が人気を博し、専門チャンネルも急増している。
YouTube内で短期間にアクセスの多かった動画をランキング形式で紹介している「急上昇」にもほぼ毎日ランクイン。
「漫画動画」というジャンルを確立させる一端を担った「フェルミ研究所」のチャンネル登録者数は150万人を超え、2019年4月に投稿を始めた「ヒューマンバグ大学」の登録者数は約半年で50万人を超えた。
ヒューマンバグ大学の登録者の伸び異常だな。笑
2019年4月スタートで現時点で50万登録者。 pic.twitter.com/f9uz9sNnNE— いしたく (@ishitaku39) October 9, 2019
YouTuberのヒカキンや、東海オンエアのてつやも漫画動画好きを公言するなど、漫画動画の認知度は日に日に大きくなり、YouTuberプロダクションのUUUMもこの10月から独自の漫画動画チャンネル「UUUM MANGA」(YouTube)を立ち上げている。
若年層を中心に大きな注目を浴び、メディアとしての力も大きくなりつつある漫画動画。しかし一方で、コンテンツの信憑性や大げさな言い回しが問題視されて炎上を引き起こすなど、つくり手側のリテラシーが問われる一面もある。
自分もその動画を見て、誤解を生む内容だなと思いました。
恐らく、フェルミ研究所さんは、正しすぎる情報(年金が減額することはあるが、無くなることはないということ)を出して炎上することを避けたかったんだと思いますが、誤った認識を生みかねないとは自分も思いました。
— にっしー (@nissy_blog) June 17, 2019
「人間の裏側」や「社会の闇」を描く漫画動画はどのようにつくられているのか。漫画動画の製作側に話を聞いた。
取材・執筆:EN Mami 取材・編集:新見直
目次
- 漫画動画がつくられるまで
- 漫画手がけるイラストレーターの胸中
- 漫画動画におけるクリエイターの価値
- 漫画動画は「実績にならない」?
- みんなにとって面白いものと信憑性
- コンビニの実録漫画と同じ
- 最適化の果てにあるもの
「黒字になってるのは…まだ3本か4本くらい。そんな(運営)歴、深くないです」そう答えるのは、現在登録者数万人の某漫画動画チャンネルを運営している管理人・ヒシダ(仮名)さんだ。
現役大学生でもある20代半ばのヒシダさんがチャンネルの運営を始めたのは今年のはじめ頃のこと。YouTubeに続々と漫画動画専門チャンネルが立ち上がり始めた時だった。
とにかくYouTubeが好きで、毎日暇があればずっと見ているという彼からすると「今どんなジャンルがキテるか」も肌感覚でわかるそうで、「漫画動画」にもいち早く着目してきた。
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