若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
緊急事態宣言下、#STAYHOMEが叫ばれ“今だからこその表現を”とクリエイターは切磋琢磨する。ラッパー・小説家のハハノシキュウは言う。「俺だって自粛したい」。
観客から出されたお題を即興で演じる落語の三題噺にちなんで綴られる、計算より15足りない日々の日記。
クリエイター
この記事の制作者たち
安倍晋三首相は4月7日、首相官邸で開いた新型コロナウイルス感染症対策本部で、緊急事態宣言を発令しました。埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に4月7日~5月6日の1カ月間、外出自粛を強く要請することを述べました。
初めまして。
ハハノシキュウBと申します。
開口一番に「お前の正体は誰なんだ?」と煩く問われるのは重々承知しております。
僕がここで文章を書かせていただいている理由は二つあります。
一つ目は“続きを気にさせたいから”です。
ハハノシキュウBがAに代わって何を書くのか?
というかBは何者なのか?
はっきり言って下品な理由だと思いますし、そういう下品さがエンターテインメントを牛耳っているのも理解しているつもりです。
ハハノシキュウBの正体は?
答えはCMの後で!みたいな。
二つ目は“ハハノシキュウAがアウトプットをしたくないから”です。
こんな世の中で「暇だからリリックたくさん書くぞ」なんて言ってるラッパーは何を歌う気なんだ?とシキュウさんは悪態をついておりました。
「音楽は無力だ」と。
そして、シキュウさんはここぞとばかりにインプット生活へとシフトしていきました。
今は攻殻機動隊シリーズを最初から観直してる最中だといいます。
この記事を書くにあたってシキュウさんからこんなことを言われました。
「“うるさい”って漢字で書く時、どっちで書いてる?」
「五月の蝿で“五月蝿い”っすね」
「俺もそうだった。でも、今日からは“煩い”にして欲しいんだ」
「なんでですか?」
「“煩わしい”ってどういう意味か知ってるか?」
「面倒くさい!とかやってらんねぇ!みたいな意味ですよね」
「なんとなくちゃんと調べてみたらさ。『心の中がうるさい様子』って書いてたんだ」
「なんかそれ、わかるっす。Twitterとかそうっすよね」
「五月の蝿の方だと、耳がうるさいだけだけど、煩わしさは心とか内側がうるさいわけ」
「わかりました。俺も”煩い”って書きます」
僕としては「どういう記事を書くべきか?」って内容の相談をしておきたかったのに、話はそこで終わってしまいました。
僕がこの記事に全力を注ぐことには変わりないのですが、書き上がった記事に細かくダメ出しをされたら流石に腹が立つだろうなと思います。
「全然面白くない」
なんてメールが来たら「じゃあ、自分で書けや!」とキレてしまうでしょう。
心の中でジグソーパズルがひっくり返ってうんざりするに決まってます。
ただ、おそらくシキュウさんはそのあと、こんな一言を付け足してくるのだろうってことは容易に想像出来ます。
「それが煩わしいって気持ちだよ」
シキュウさんはラッパーのくせに自分の話をするのが下手くそだから、代わりに僕があの人の話をしていこうと思います。
まず、この緊急事態宣言以降の自粛期間、シキュウさんに「暇っすか?」と聞いてみたら「全然暇じゃない」と一蹴されました。
「リリックなんか書けたもんじゃない」と前に言っていたから「制作で忙しいんですか?」なんて聞いたら殺されてしまいそうな気がして一瞬唾を飲みました。
どうやら、テレワークやリモートワークが出来ない職種らしくこの状況下でも普通に電車通勤しているらしいのです。(そもそも普通に会社員やってることに違和感がある)
「俺だって自粛したい」
そんなシキュウさんの出した答えは「リリックや小説を書くことを自粛して、インプットに心身を注ぐ」というものでした。
「TwitterもインスタもYouTubeも極力見ないで、ちゃんとパッケージングされたものを鑑賞するんだ」
というわけで今回の『計算より15足りない日々』の概要は「ハハノシキュウAおすすめのコンテンツをハハノシキュウBも観てみた!」みたいな内容にしようかと思っております。
ここで一つ強調しておきたいのは、シキュウさんが持て余した時間をインプットに使うのではなく、持て余してない時間からインプットタイムを捻出するという点です。
その観点から僕なりにシキュウさんの心情をまとめると以下のような感じになりました。
1.一度に集中する時間は20〜30分ほど
2.スマホで鑑賞出来るものが好ましい
3.とにかく“続きが気になる”ものが好ましい(なるべく長編)
4.鑑賞中にLINE等が来ても後回しにする
具体的に言うと、通勤時間(往復)と休憩時間で1日につき20〜30分×3話分のインプットタイムを確保するということ。
また、鑑賞しながらスマホをいじることを避けるためにスマホで観られるものを選ぶ。
ミスリードやクリフハンガーが多用されている作品を選び、続きが気になることを楽しむ。
そして、鑑賞中に自分の作品に昇華出来そうなアイデアを思いついてもメモしない 。(アウトプットしない)
シキュウさんが特に繰り返し言っていたのは「二時間の映画だと、もう映画館じゃないと集中して観られない」「20〜30分の集中力を積み上げていくんだ」ということ。
そして、それらはすべて“煩わしさからの脱却”という一点に収束するのです。
SNSを筆頭にスマホで確認できる“煩わしさ”から目を背ける必要があるというわけです。欺瞞に満ちた世の中を直視し過ぎないように。
単純に、何かに夢中になる。
これが大人になってからだとなかなか難しいのです。
ここで紹介する作品群は“続きが気になる”という点に特化した現実逃避の幸福を並べたものと思っていただいて構いません。
だからこそ、YouTubeのMCバトル動画のように3分ほどで終わってしまうものでは得られないカタルシスがあるのです。(MCバトルはDVDで全試合を通して観るべき)
講談師・神田伯山のYouTubeチャンネルから公式でアップされたこの上ない大盤振る舞いです。
講談には一日では語り尽くせないほどの長噺があり(もちろん落語にもありますが)この「畦倉重四郎」は5日間で全19席という壮大な物語になっているそうです。
つまり、客としてこの講談を聞くためには5日間連続で演芸場に通わなければいけない。そのために仕事を休める人はなかなかいないと思われます。
だから、この19席をすべてYouTube上に公式でアップするという行為にはヒップホップ的に言うところのリスペクトを送らざるを得ないわけなのです。
また、僕自身、講談や落語に詳しくない性分なので専門用語とか言い回しが理解出来ず、噺についていけないのでは?という懸念がありました。
なので、シキュウさんの薦めでこの講談を全席聞くのにはそこそこの覚悟が要りました。
しかし、そんな心配も演者から見透かされていたようでこのYouTubeでの映像にはすべて字幕が付いており、聞き慣れない言葉も文字に変換して受け止めることが出来るよう配慮がされておりました。
YouTubeの字幕機能=空耳製造機だと思っていた自分を恥じたいところです。
この畦倉重四郎がどういった物語なのかと言うと、大悪人による悪党譚です。
名奉行、大岡越前守が生涯裁いた中で「八つ裂きにしてあまりある」と言わしめたのが、徳川天一坊、村井長庵、そして畔倉重四郎。
これを講談界で三政談という。
畦倉重四郎はワルの中のワル。そんな男の人生を大河ドラマ的に語られるわけです。
例えるなら『ジョジョの奇妙な冒険』における悪の化身ことDIOを主人公にしたような話です。
講談は、オチに重きを置く落語とは違い、続きが気になるという点に重きを置かれている節があります。
この続きを気にさせる技術こそが講談の醍醐味なのだと僕は思いました。
ちなみに僕にとって最も印象的だったのが「栗橋の焼き場殺し」(6席目)です。
神田伯山の師匠である人間国宝・神田松鯉がこの6席目をやった時、客席の女子高生がゲロを吐いたなんて逸話があります。それくらいハードな内容です。
ちょうど、先日AmazonのPrime Videoで『冷たい熱帯魚』を観ていたため僕の脳内映像はそれに近いものでした。まさに「ボディを透明にする」世界観だと思います。
もちろんハードな表現だけではなく、ストーリーテリングの基礎が大昔から完成されていることを実感する講談でした。
是非ともご鑑賞してみてください。
本日5月4日夕方頃、安倍晋三首相は記者会見を開き、5月31日まで緊急事態宣言の延長を決定したと公表しました。記者会見では、延期期間は感染拡大防止とともに、新しい生活様式で経済活動を再開するための準備期間だと述べました。
「なんかAmazonのPrime Videoで観られるオススメありますか?」
ゴールデンウィークの最中、個人的に『妄想代理人』を観終わったのもあって、シキュウさんが薦めてくれるやつを観ようと思い、メールをしてみました。(人から薦められたアニメや映画を「絶対に観ます!」って言うくせに観られないまま忘れてしまうタイプの人間なので)
「原稿は書いたの?」
シキュウさんのメールはどことなく冷たい感じがしました。
「途中まで書いたんすけど」
Prime Videoのオススメを教えて欲しかっただけなのに、不要な緊張感が指先に宿る。
「送って」
シキュウさんが全然怖くない人なのは知ってます。
おそらく前に言っていた“煩わしさ”ってやつに疲れているのだと思います。
ハハノシキュウBという悪ふざけがここまで続くとは正直思っていませんでしたし、シキュウさんからハハノシキュウBとしての仕事が振られることも想像すらしてませんでした。
もしも、新型コロナウイルスってやつが蔓延してなかったら「代わりにMCバトルに出ろ」なんて命令が下ってたんじゃないかとすら思います。
「読んだ」
神田伯山のくだりまで書いた僕の文章をサクッと読み終わったようでした。
僕はここで返事を送らずに「読んだ」の後に続く言葉を待ち続けました。
もしも、ダメ出しされたら「じゃあ、自分で書いてください」と正直に言うつもりでした。
好きな子に告白した後みたいな気持ちで既読を待つと、ワンテンポ遅れてメッセージに送られてきました。
「あれだね、文体は違うけど文章の癖みたいなやつもコピー出来るんだね」
「シキュウさんの真似なら任せてください!(失礼でなければ!)」
この返信が正しかったのか判別がつきませんが、全く絵文字を使わないシキュウさんの文面はそれだけで長過ぎる前髪を表現出来ていたようにすら思えます。
「スタンド・アローン・コンプレックスだな」
「え?」
「いや、なんでもない」
即座に「スタンド・アローン・コンプレックス」で検索をかけたら完全に『攻殻機動隊』に影響を受けてる発言だと察したので、軽く受け流すことにしました。SFは苦手なのです。
「まあ、原稿は。正直わからん」
「マジすか」
「とりあえず編集の新見さんに送ってみる」
シキュウさんは見かけ通り(?)冷めたところがあるので、あんまり深く考えないようにしました。あの人は「基本的に他人には期待してない」と口に出して言いながらこんな風に仕事を頼んでくるので、まあ仕方ないと言えば仕方ないです。ただ、そういうのも含めてシキュウさんの味なんだと思います。
「あっ、そうだ、忘れてた」
「なんですか?」
「アマプラだったら、今は『刻刻』ってアニメが観られるよ。本当は『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-』の絶望編と未来編を交互に観るやつを体験して欲しかったんだけど、今は金がかかる」
「マジすか、ありがとうございます」
「『刻刻』は梅津泰臣が関わっててさ、本当はこの人が監督やったやつが一番良かったんだけど。特に『MEZZO』ってやつ。でも、これは渋谷のTSUTAYAまで借りに行かないといけないからこのコロナの現状じゃ薦めにくい。でもなんていうか、ストーリーそのものよりも作家の“ノリ”みたいなのが最高なのよ。でもこの“ノリ”の好みを他人と共有するのはストーリー構成そのものに比べたらなんか難しい気がするんだけど、とにかく“ノリ”が俺の身体に合ってる気がするんだよ。例えば、KEY作品の“ノリ”ってすごく好み分かれるけど、ストーリーの収束感っていうかオチでさ完全に持ってくパワーがあるじゃん。俺は個人的に『MEZZO』の“ノリ”だけでストーリーなんかどうでもいいと思わせてくれる感じが好きなんだよね。伏線もあるっちゃあるんだけど、綺麗に回収して欲しいとすら思わない感じ。そうそう、ちなみにこの『MEZZO』の前に『MEZZO FORTE』っていう18禁のOVAを観ておかないといけなくて……」
シキュウさんには申し訳ないですが、この辺で話を終わらせないとエンジンがかかってしまう予兆を感じたので、適当にはぐらかせていただきました。
とりあえず、担当編集の方からどんな返信が返ってくるか、それだけを気にしつつ『刻刻』を視聴しようかと思っております。
この原稿はどうなってしまうのか?
答えはCMの後で!
START 17:00
TICKET 2000円 (税込)
下北沢Lagunaから生配信ライブ!
パソコンやお持ちのスマホにてご覧いただけます!
日程:2020.6.13(土)
時間:17:00
映像:カメラ4台配信
出力:PAミックスステレオアウト
視聴チケット:¥2000(税込)
ツイキャス公式ストアにて発売予定
視聴期間:配信日より2週間
※チケットをご購入頂いた方は、視聴期間中は何度でもご視聴いただけます。
※開催日と開催日以降はコンビニ決済とペイジー決済を利用して購入することができなくなります。
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注意事項:
・映像や音声の無断転載禁止。
・会場には入場できません。
・ご購入後のキャンセルまたは変更はできませんのでご了承ください。
※コメント欄からのお問い合わせには対応できません。
お問い合わせ:laguna@daisybar.jp
オープリングアクト:ハハノシキュウB
客演ゲスト:M1NAZUK1
タイムテーブル(予定)
17:00〜17:50 DJ セルラ伊藤
17:50〜18:00 ハハノシキュウB
18:00〜18:30 Amateras
18:30〜19:00 ハハノシキュウA
19:00〜19:45 マザーテラス(ハハノシキュウ×Amateras)
19:45〜20:15 トークタイム
20:15〜close DJ M1NAZUK1(オープンマイク)
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