20歳、レペゼン西成。ラッパーS-kaineは生き急ぐ
2021.09.25
ヒップホップMC・SILENT KILLA JOINTは、関西圏のアンダーグラウンドシーン、そしてユースからカリスマ的な存在となっている。
2017年に傷害事件で逮捕され、2年半の懲役刑という空白の期間──彼が服役する前に残したいくつもの種はインターネット上の音源/MVとして残り、それに触発され、リスペクトを送るラッパーは少なくない。
同時に、人気YouTuberとしても活動する彼だが、YouTubeとラップの活動を紐付ける人は驚くほど少ない。「YouTubeをやっていて全くダサくならないラッパーは彼くらいじゃないですかね」。これは、本記事の写真撮影を行ったフォトグラファー/美術家の山崎奏太郎がこぼした言葉だ。
ラッパーとYouTuberという存在を横断し、それぞれまったく異なった層のリスナーを持つ彼の越境的な多面性、そして「ヒップホップ」「YouTube」という先端のシーンに身を置いた嗅覚はどのように培われたのか。
本インタビューでは「SILENT KILLA JOINT」のこれまで語られなかった経験と内面を前後編に分けて深掘りしていく。
目次
- ヒッピーの街、淡路島
- ヒップホップとYouTubeは完全に別モノ
- ラップがダメになったら、また漁師をやってもいい
- へずまりゅうやHIKAKINでは感動できない
- 若手からリスペクトを受ける理由とその人柄
- 後編へ続く
──SILENT KILLA JOINTさんのフッド・淡路島って、外から見るとあまりヒップホップのイメージがないというのが正直なところです。音楽的、文化的にはどのような場所なのでしょうか。
SILENT KILLA JOINT ヒッピーの街ですね。毎年、ヒッピーが千人くらい移住してくるんですよ。
ちょっとどこまで話していいかわかんないんですけど──昔ながらの「農家さん」たちがいっぱいいるんです。「農家さん」たちが採れた「作物」をみんなに振る舞いながら音楽聞いて、パーティーするみたいな。
レイヴ・パーティーみたいなのが日常茶飯事というか、平日からみんなでヒッピーの「農家さん」たちが育てた「野菜」をみんなで食べて、で、音楽を聴き続けるっていう生活。たしかにヒップホップっていうカラーはあまりないと思います。ただ、音楽に関してはだいぶ深いところいってる街なんです。
ただ、表と裏があったりとかして。
──表と裏。
SILENT KILLA JOINT シーンがね、完全に乖離しているというか。フライヤーがあるイベントと、フライヤーをつくらずに身内で音楽を楽しんでる人のイベント。こっそりとバンド演奏ですごいパーティーをやっている。それは本当に質の高い演奏で、外には漏れない情報になっているんです。
──知る人ぞ知る、独自のコミュニティが築かれていると。
SILENT KILLA JOINT 長年そういうヒッピーの街だったけれど、でも最近は僕の音楽を聴いてヒップホップはじめたみたいな子も出てきた。これから地元にショップとかつくっていったら、シーンみたいなものができていくのかな。実際に展望もあります。
──音楽の「深いところ」に触れたのはいつごろなんでしょうか。
続きを読むにはメンバーシップ登録が必要です
今すぐ10日間無料お試しを始めて記事の続きを読もう
残り 5235文字 / 画像5枚
800本以上のオリジナルコンテンツを読み放題
KAI-YOU Discordコミュニティへの参加
メンバー限定イベントやラジオ配信、先行特典も
※初回登録の方に限り、無料お試し期間中に解約した場合、料金は一切かかりません。
様々なジャンルの最前線で活躍するクリエイターや識者を中心に、思想や作品、実態に迫る取材をお届け
様々な記事の中から編集部で厳選したイチオシ作品をご紹介
ラッパー/ライター/編集
現代の日本の音楽シーンを語るなら、ボカロ文化は不可欠。2020年代のボカロ曲において、音楽的な独自性はどこにあるのか? 柴那典さんが「MAJ2025」受賞候補曲から考えます。
ライター
『ブルーアーカイブ』の青い色彩設計、そしてエデン条約のストーリー。この2つを柱に日本のサブカルチャーがアジアにどんな影響を与えたか、韓国でどう花開いたかを紐解きます
ライター
ぶいすぽっ!所属の蝶屋はなびさん。普段から前向きな姿勢を崩さない彼女のひたむきさはどこから来ているのかうかがいました。格ゲートークも充実!
編集
語られざる、違法な海賊版トレーディングカードゲームの歴史。世界広しと言えども、この解像度でその歴史を紡げる人は、SF作家・ゲームコレクターである赤野工作氏しかいない。
編集
結局、同人誌って違法なの? 実在する「VTuber」の二次創作、もしかして肖像権侵害や侮辱罪に当たっちゃう? 令和版、同人文化への最新の法的動向を弁護士に根掘り葉掘り聞いてます。
編集
日本語ラップを、構造的に理解する──音楽としてでもライフスタイルとしてでもない、新しいヒップホップの解釈を提示してもらっています。
編集
オタク/ラップのトップランナーだからこそ語れる“ニコラップ”の世界。懐かしいだけじゃなく、今に接続される話になっています。
ライター・編集者
減らないVTuberの活動休止について、根本的な原因を九条林檎さんに聞きました。推しのVTuberがいる方は、ぜひ読んでもらいたい内容です。