「なんやねんこの人!」粗品も思わずツッコむ才能・大石昌良と初対談
2021.06.05
世代やジャンル、人種、古いものと新しいもの、文脈(歴史)と現在、これらの垣根を超えて接続する、「越境」する音楽家へのインタビュー連載。
今回は、アカデミックな音楽的素養をもつ音楽家の台頭、そして「92世代」の中心地に座るジャズドラマー・石若駿に話を聞いた。
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この記事の制作者たち
音楽シーンに「92年生まれ」世代のアーティストが台頭している。高度な音楽教育を受けた同世代のミュージシャンたちが「ジャズ」を共通言語にしながら越境的に結びつき、バンドの形にとらわれず数々のプロジェクトを横断しながらポップミュージックの分野で活躍している。
そして、その“ハブ”のような場所にいる音楽家の一人が石若駿だ。
ジャズドラマーとして10代から頭角を現してきた彼は、東京藝術大学で打楽器を専攻。在学中に出会った同級生の常田大希とは、King Gnuの前身となるSrv.Vinciを結成し現在でもmillennium paradeで活動を共にする盟友的な関係だ。同じく同級生の江崎文武(WONK)とも様々なプロジェクトを共にしている。
石若駿
そして昨年、石若は自身のプロジェクトAnswer to Rememberをスタート。10代から切磋琢磨してきた同世代のジャズミュージシャンの仲間たちをメンバーに、やはり92年生まれの中村佳穂や、KID FRESINOなど数々のゲストを迎え、エクスペリメンタルでありながらポップスとしての浸透力も兼ね備えた刺激的な音楽を発信している。
くるりのサポートをつとめるなどドラマーとして八面六臂の活躍を見せる石若は、今年を代表するヒット曲である米津玄師「感電」にも参加。ちなみに、その曲で共同アレンジを手掛けた坂東祐大も、ホーンセクションで参加したMELRAWこと安藤康平も、学生時代からの仲間だという。
他にもCRCK/LCKSの小田朋美、石若駿SONGBOOK PROJECTのメンバーでもありシンガーソングライターとしてメジャーデビューも果たした角銅真実など、石若と近い世代の藝大出身者たちがコレクティブ的に結びつきあいながらポップフィールドで活躍している。
この“現象”は一体何なのか。
キーマンである石若に、自身のコミュニティや世代感、コロナ禍での創作の変化など様々な観点から話を訊いた。
取材・執筆:柴那典 撮影:Hayato Takahashi 企画・編集:和田拓也 取材協力:KAKULULU
目次
- コロナ禍でのアーティストたちのムード
- アカデミックな音楽的素養をもつ同年代の台頭、有機的なつながり
- 接近するジャズとポップス/メインストリームの距離
──先日には「石若駿Songbook TRIO」の東北ツアーが開催され、久しぶりに観客の前で演奏されました。まずは、どんな感慨がありましたか?
石若駿 Songbook TRIOは音楽的に縛られてないバンドで、その場の空気や、その場で起きることをすごく大事にするんです。毎日そういうやり方だったんで、自分の中で新しい音楽体験ができたと思います。
ツアーのそれぞれの場所で、ヴォーカルの角銅(真実)さんが、その土地のゆかりのものをリハーサルで提案するんです。例えば、盛岡に行ったときには盛岡の民謡の譜面を書いてきて、それをやってみたり。
で、最終日のKAKULULU(カクルル)は僕らにとってホームのような場所なので、「今日は何も決めずやろう」って言って。お客さんの前で、みんなの顔を見て、ハッと思いついて始めた流れに乗るようなやり方でやれた。音楽的にも新しい境地に行けたし、すごく充実してましたね。

──2020年の今、こういった形の公演をやること自体にもメッセージ性がありますよね。ライブミュージックが途絶えて多くの公演がオンラインに切り替わっている今だからこそ、その場の空気を踏まえてお客さんの前で演奏するということに強い意味合いが加わっている気がします。
石若 本当にその通りだと思います。「今回が半年ぶりのライブだ」というお店がすごく多くて。お客さんも2月、3月くらいぶりで「やっとライブミュージックが聴けた」と、すごく感謝してくれた。
それは僕も同じで、配信のライブも30本くらいやったんですけれど、それを経て、半年ぶりくらいにやっとツアーができた。場が一体となった感じはありましたね。お客さんの雰囲気も「聴こう」「感じ取ろう」みたいなムードがすごくあって。こういう場はすごく貴重だなと思いました。
──コロナ禍で音楽家はみな大きな影響を受けたと思います。当然、人によって価値観や捉え方は違うと思うんですが、石若さんから見て、共通するムードや考えはありましたか?
石若 僕も含めて、みんな自分の好きだったことに戻った気はします。東京で音楽をやってると、バンドをやったり、誰かとコラボしたり、いろいろなことをやっていて、みんなすごく忙しいんですよね。それがなくなって、みんな自分が何を好きだったか、どういうものに影響されて音楽をやってたか、そういうことに立ち戻る時間が沢山あった。

石若 で、今はそれを受けてまた制作に入っている感じがします。最先端とか流行を追いかけるよりも、一度過去に戻って、それを熟成させてきた。それが結果的にすごくフレッシュな感じになっている。それは自分もそうだし、周りの人たちを見ていても思います。
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