Vol.2 「容姿革命」の本質
2019.06.11
にじさんじ所属の新人VTuber壱百満天原サロメさんによるVTuber史上最速のチャンネル登録者100万人突破、鮮烈な活躍を続けるKAMITSUBAKISTUDIOの歌姫・花譜さんによるVTuber史上初の武道館ワンマンの開催、境界を突破し続ける個人勢の星・オシャレになりたい!ピーナッツくんの日本最大級のヒップホップフェス「POPYOURS」出演、ANYCOLOR株式会社の上場など、その隆盛を示すような大ニュースに事欠かないVTuberシーン。
2022年、ますますその勢いは止まらない。
圧倒的な規模感で市場を席巻する企業勢の動きに、負けじと個性的なクリエイティブを発揮する個人勢まで様々な才能たちがひしめくシーンにあって、彗星の如く現れれた謎の存在があった。
それが「バーチャルのメディア (バチャメ)」と呼ばれるスタジオ兼YouTubeチャンネルだ。
2021年11月のチャンネル開設以降、ぽんぽこさんとピーナッツくんや、おめがシスターズといったバラエティ豊かな面々の参加する独自の企画動画や、オフショット動画などで人気を博し、もちひよこさんやさえきやひろさんといったクリエイター系VTuberも御用達という独特のポジションを築き上げた。
「ぽんぽこ24」をはじめとした様々なVTuberへの企画協力に加え、動画編集を個人勢VTuberに外注するなど、シーンを拡大すべく動いているような強い意志を感じるが、そのチャンネル概要にはただ「つよつよスタジオを手に入れたVオタ女がスタジオでのオフショットを流したりします」と書かれているのみ。
謎の大富豪が趣味で運営している説、VTuberの有志達が集まって共同運営している説──そして本当に気合の入ったVオタ女が運営している説など様々な憶測が飛び交う中、遂にKAI-YOU Premiumが接触に成功。
運営チームのメンバーだという3人にインタビューをする機会を得た。
どのような経緯で発足したのか? 営利団体なのか?そもそもひっくるめて「バチャメ」とはなんなのか? 数々の謎を解き明かすべく、取材班が向かったのはとある企業の会議室であった。
目次
- 「バーチャルのメディア」の正体
- 「クリエイティブが溢れすぎてVTuberをやっている」才能たち
- 「ぽんぽこ24」は2日前の依頼 コミュニティ感を育む秘訣
- いろんな才能を繋ぐ場に「バチャメ」の役割
- モーションキャプチャースタジオ事業の課題
- VTuberという在り方を介して交わる才能
アクタースーツ:スーツの各所にマジックテープでマーカーを付けていき、モーションをキャプチャーする。人間1人の全身をキャプチャーする場合57個のマーカーを装着する。ピーナッツくん曰く「GANTZのスーツみたい」/ハンガー:元々はやひろさんのお衣装をかける為に用意されたが、思わぬ使い勝手の良さに様々なオブジェクトへ転用されているハンガー。某VTuberを浮かすのにも使っている(?)という噂が……。
──「バーチャルのメディア ( バチャメ ) MEDIA OF VIRTUAL」は昨年11月の登場以来スムーズにシーンに受け入れられた印象ですが、どのような意味合いでつけた名前なのでしょうか。また、現在の反響についてはどのように受け止められていますか?
バチャメスタッフA(以下A) VTuberさんたちのオフショットなどをゆるい雰囲気で上げていくにあたって、あまり色がつくような名前にしてしまうと抵抗感が出ちゃうかなと思い誰でもフラットに受け入れられるような感じを目指して「バーチャルのメディア (バチャメ)MEDIA OF VIRTUAL」という名前をつけました。
あくまでVTuberさんやクリエイターさんたちの表現を広げる場としてスタジオもメディアも活用していただきたいと考えているので、今のところはそれでファンの方々にも受け入れていただけているのかなと思います。
──単刀直入にうかがいますが、「バーチャルのメディア」とはなんなのでしょう? 運営母体はどのような存在なのでしょうか。
A 我々の本体はゲーム事業会社で、その1つのセクションとして「バーチャルのメディア」を運営しています。
とはいえチャンネル概要に書いてある「つよつよスタジオを手に入れたVオタ女」というのがまるっきり嘘というわけではなくて、実際にスタッフである彼女が「つよつよスタジオを手に入れたVオタ女」なんです。
バチャメスタッフB(以下B) はい。「バチャメ」がはじまる前からVIVEだったり個人で買えるVR機材は一通り揃えていて、会社のZoomミーティングにもアバター姿で参加していたりしました。それで次はOptiTrackを用意しようかなという段階に来ていたんですが。
※VIVE,OptiTrack VIVEは個人で用意できるものとしては比較的高級なVRデバイス。OptiTrackはより専門的でさらに精密なモーションキャプチャーができるシステム。
A そのタイミングでゲーム会社として「自前でもモーションキャプチャーできた方がいいよね」という話になりまして。ゲーム制作用のモーションキャプチャースタジオを作ろうという目的からVICONを導入しようという流れになったんです。
※VICON 本来はハリウッド映画の撮影でも使われるようなハイクオリティなモーションキャプチャカメラシステム。にじさんじが導入していることでも有名。
VICONモーションキャプチャカメラシステムと椅子:カラオケ動画時にはソファに、脱出ゲーム企画では迫りくる壁に変貌したイス。その時々によって並べ方を変えてマーカーを配置することで、VR空間上で様々なオブジェクトとなる。
B その話を聞いて、会社にVICONが入るんだったら自分でOptiTrack買わなくてもいいかなって思ったんです。それで開発者として志願して、チームに加わることになりました。
A 本来はゲーム制作の為のプロジェクトだったんですが、延長としてリアルタイムでキャラクターと背景を合成して収録したり、生放送をするような技術も先々必要になってくるだろう、ということで立ち上がったのがスタジオ設立までの経緯です。
なので最初からなにか大義名分があったわけではないんです。でも、続けていくうちにいろんなVTuberさんの魅力を伝えるサブチャンネル的な存在としてやっていけたらと思うようになりました。
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