変化するVTuberのプラットフォーム勢力図──TikTok隆盛、SHOWROOM衰退の背景を考える
2023.05.10
「ちょっと大人な、作曲家的な考え方をしてしまっていた」とこれまでを振り返るぼっちぼろまる。
生のグルーヴ感を重視したヒットソングが生まれるまで。
クリエイター
この記事の制作者たち
「ひとりぼっちロック・バンドとしてミュージシャン活動を行う地球外生命体」。シンガーソングライター・ぼっちぼろまるの公式サイトにはそのような説明が掲載されている。
2016年に活動を開始し、2017年当時にブームの兆しを見せ始めたバーチャルYouTuber(VTuber)文化と接近遭遇。自身もバーチャルYouTuberとして活動を展開する。
その頃、「自身をバーチャルYouTuberだと直感した」と振り返るぼっちぼろまるは、しかし同時に「VTuberじゃない」という視聴者からの反発とも直面した。
そんな反発も受けながら、現在ぼっちぼろまるは様々なVTuberに楽曲提供し、VTuberとしても独自の立場を築いている。自身でも「おとせサンダー」がTikTokの関連動画全体で3億再生されるヒットメーカーが語るVTuberのセルフプロデュース力と、自身のバンドサウンドへの初期衝動とは。
@boromaru 新曲つくってます!!どうですか?? #おとせサンダー #オリジナル曲 #animation #アニメーション ♬ おとせサンダー - ぼっちぼろまる
目次
- 活動初期の「めちゃくちゃVTuberじゃん」と「VTuberじゃないだろ」
- シンガーソングライター、ボカロP、VTuberは活動のタグ
- 「音楽でいこう」と思った決定打はあのバーチャルラップユニット
- ピアノ入れるなんてダセえって思ってたのに
- VTuberのセルフプロデュース力とそれぞれの強み
──そもそもぼっちぼろまるとしての活動を始めるきっかけは何だったんでしょうか?
ぼっちぼろまる ぼっち星にいる時に地球の音楽が輸入されてきて。地球の音楽、特に日本の邦ロックが自分に合致するところがたくさんあって、その影響で日本の音楽をよく聴いていました。
ぼっち星でも音楽やってたんですけど、やっぱぼっち星は音楽のレベルがちょっと低いなと思って、日本で自分の音楽に挑戦してみたくて日本に来ました。
──それはVTuberカルチャーがまだない時代ですよね?
ぼっちぼろまる そうなんですよ。僕が地球に来たのが2016年の末くらい。その頃はVTuberやキズナアイさんが出てきたぐらいだと思います。まだ全然流行っていたりはしなかったので、特に僕もVTuberとは名乗ってはいなかったですね。
──そこからキズナアイを筆頭にVTuberが流行りだして、自分も名乗ったということですか?
ぼっちぼろまる そうですね。「僕ってめちゃくちゃバーチャルYouTuberじゃん」って思って(笑)。
寄せるということもなくて、そのままバーチャルYouTuberになれるなって思って名乗り始めました。早いタイミングで乗っかった部分は結構大きかったと思います。
──乗っかったとはいえ、VTuberの音楽というもの自体、最初はほとんど誰もやっていなかったと思います。その中でぼろまるさんは音楽でスタートして、周りに同業者がいない状態で活動することへの不安はありましたか?
ぼっちぼろまる 単純にYouTuberを見るのが好きだったので、僕もバーチャルYouTuberとして音楽活動とは別軸でYouTuber活動をしたい気持ちがありました。おもしろ動画みたいなやつをやりたいと思って、バーチャルYouTuberを名乗り始めたんですよね。
ぼっちぼろまる 音楽については月1で曲を出すっていう軸はあったんですけど、それとはまた別で、最初の方はYouTuberっぽい企画動画を出したりしてました。実際は全然はねなくて、気づいたら予想と違って音楽だけが伸び始めました。
音楽を評価していただいたことはすごく嬉しかったんですけど、YouTuberとしては全く人気がないような感じになったんですよね。
──知ってもらうきっかけとしては、どの楽曲が最初に聴かれたんでしょうか?
ぼっちぼろまる 「ダメニンゲンぱれーど」が、ニコニコ動画の「VTuberまとめ」という音楽まとめに取り上げられて、そこから広がっていきました。その後も「タンタカタンタンタンタンメン」もまとめに取り上げられたりして、当時のVTuber界隈の中に位置付けしてもらった気がしますね。
──ニコニコで取り上げられた時は、どんな感じの反応があったんですか?
ぼっちぼろまる ニコニコのまとめでは、キャラクターがぽつんと立ってる形態のリリックビデオで取り上げられたので、「VTuberじゃないだろ」っていうコメントが結構ありましたね。
当時は、「3DじゃないとVTuberじゃない」みたいな論争もあった時期でした。僕も一応3Dで面白動画を出してはいたんですけど、みんなはそっちを知らないので、リリックビデオだけを見て「VTuberじゃない」とか「乗っかろうとしてる」みたいなことを言われたりしました。
──ご自身でもVTuberのシーンとの距離感というものは感じてきたのでしょうか?
ぼっちぼろまる 最初の頃からリリックビデオがイラストだけだったり、リアルの姿でライブしたり、いろいろな場所に行ったり、そういう活動のせいもあって、「VTuberじゃない」とか「VTuberやめたの?」とか今でもずっと言われていて、認められていないのかなって思いをずっと抱えながら活動してきました。
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