目指すべきコンテンツの在り方と、その敵
2020.05.22
クリエイター
この記事の制作者たち
栄枯盛衰、毀誉褒貶の激しいVTuberシーン。激動の時代を、渦中からプレイヤー視点で解説し、その歴史を刻む連載「おしえて、九条林檎様!」。
今回も、VTuber界で酸いも甘いも噛み分けてきた、吸血鬼と人間のハイブリッドレディこと九条林檎さんに聞いていきます。

第3回目のテーマは、今に至るバーチャルYouTuberの始祖的存在「Kizuna AI」(キズナアイ)さんです。
6月30日にキズナアイさんが様々なメッセージを届ける意味深な動画が公開され、2022年2月から2年ぶりに活動復帰するのでは? と囁かれています。以降目立った動きはありませんが、依然動向は注視されています。
KAI-YOU Premiumでは、キズナアイさんのボイスモデル・春日望さんの独占インタビューも配信したばかり。
今回はバーチャルYouTuber界の親分として道を切り拓いてきたキズナアイさんの功績を、VTuberの視点から振り返ってもらいました。
目次
- VTuber界の北極星になったキズナアイ
- 天魔機忍ver.、BANs、輝夜月が変えていった黎明期のコラボ事情
- にじさんじの台頭で変わった全て 月ノ美兎の衝撃
- にじさんじVOLTACTION、宇推くりあが生む“プロの顔と素顔”のギャップ
- VTuberはギャルと一緒 魂のあり様で決まる
- 「誰も真意を読めなかった」キズナアイの分裂を振り返る
──キズナアイさんは2016年12月、林檎さんは2018年12月から活動を開始。キズナアイさんが2022年2月に「スリープ」して活動休止するまで、約4年ほど活動の期間が被っています。この間に共演経験はおありですか?
九条林檎 キズナアイ氏が毎日のように活動されていた時期には、我々の出るようなバラエティー番組に出てこられるとか、メタバース系列の番組に参加されることがあまりなく、共演する機会はなかったんだ。タレントとしての畑が違っていたように思うな。
あとは自分で言うのもなんだが、我自身めちゃめちゃに数字を持っているタイプではないからな。Xのフォロワーが5万人になったのも最近だ。タレントはやはりある程度数字で棲み分けがされるところがある。キズナアイ氏はずっと業界のトップ級で走られていた、まさにスターだ。
──コラボする機会はなかったわけですが、林檎さんから見てキズナアイさんはどんな存在でしたか?
九条林檎 当時業界を盛り上げていた他の多くのVTuberと同様に、尊敬する存在だった。やはりVTuberオタクとしてもどこかで、VTuberの原初はキズナアイ氏だという思いもある。すごく影響を受けた存在であることに間違いはないな。
我は最近よく、「自分は2018年初頭のVTuber業界のオタクだ」と言ったりするんだ。それだけ当時のスタイルが好きで、今でも我は他の方と比較して3DモデルやVRでの表現にこだわっている方になるだろう。これもキズナアイ氏の影響だと思う。バーチャルというものの可能性を一番最初に示してくれたキズナアイ氏には、非常に敬意を抱いているんだ。
──“バーチャルYouTuber”という言葉だけでなく、基準となるスタイルを生み出した方ですよね。キズナアイさんからいろんなスタイルが派生していった。
九条林檎 当時は全VTuberのベンチマークだったと言っても過言でないのではなかろうか。キズナアイ氏が一問一答を企画すればやるし、『壺』(※1)を遊んだら『壺』を遊ぶし、体力テストをやったら体力テストをやる。かつては確かに、そんな雰囲気があったように思う。ずっと北を指し示す北極星のようだった。
※1 正式名称『Getting Over It with Bennett Foddy』。下半身が壺に入った男が、ハンマー1つで山を登る謎のゲーム。VTuberのゲーム配信で遊ばれる定番になっている
──もしもキズナアイさんがいなかったとして、今に至るVTuberの発展はあり得たと思いますか?
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減らないVTuberの活動休止について、根本的な原因を九条林檎さんに聞きました。推しのVTuberがいる方は、ぜひ読んでもらいたい内容です。