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  • 2021.08.30

「望月けいは私であって私ではない」人生をかけて描く理想のクリエイター像

手が届かないと思わせるくらい、圧倒的な存在になりたい

一見大仰に見える理想を、自らの道に続く現実として確かなものにしようと突き進むのはイラストレーター・望月けいさんだ。

「望月けいは私であって私ではない」人生をかけて描く理想のクリエイター像

望月けい

10代の頃からその才覚を発揮し続け、最近では大反響を巻き起こしたSNSミステリー「Project:;COLD」のキャラクターデザインや、key制作のビジュアルノベル「LOOPERS -ルーパーズ-」のアートワークを担当するなど、今最も波に乗るクリエイターの一人として数えられる気鋭のイラストレーター・望月けい。

LOOPERS

LOOPERS

絶妙にデフォルメされたクールなデザインと、全体的に彩度が低めながら強調すべき色彩を印象付ける特徴的な彩色で唯一無二の画風を確立。多くのフォロワーを生み出し流行の最先端に立つ望月さんだが、思い描く理想はその遥か先にある。

自らの創作に絶対の自信を持ち、流行に迎合することなく理想を追い求める。誰もがそうありたいと願っては、届かぬ現実に涙を流す模範的な姿を、当然のものとして貫き続ける。そのハードなまでにストイックな姿勢を貫くために重視するもの、群雄割拠のイラストレーターシーンで絶対のポジションを築く大人気イラストレーターが、それでもなお追い求めるクリエイターとしてのあるべき姿を探る。

目次

  1. 望月けいの原点は『いでじゅう』
  2. 自分の人生は、自分で決める
  3. クリエイターであるからこそ、持ちたい敬意と譲れない思い
  4. 真実を曝け出す/隠すイラストレーション
  5. 数少ない、理解し合えるイラストレーター
  6. ジャンルを越境する、刹那的な天才への憧憬
  7. 望月けいの考える「良い絵」とは何か
  8. 「SNSのイラストレーター」像との差異
  9. VTuberの活動は、一つ一つがクリエイティブなものなのだと気づいた
  10. 理想の「望月けい」で在り続けるためなら、すべてを捧げられる

望月けいの原点は『いでじゅう』

──以前KAI-YOU.netでインタビューさせていただいた時は、覚えていないくらい小さい頃から絵を描いていたと仰っていましたが、絵に関する記憶で一番古いものはどんなものですか?

望月けい 小学校低学年くらいの頃に海の絵を描いて結構大きな賞を貰ったことがあって、家族にも褒められて嬉しかった思い出があります。それを今でも思い出すくらいなので、絵を描く原点に近いかもしれません。

その後、漫画を読むようになって人間を描きはじめたんですが、ちゃんと一枚絵として描くようになるのは高校生になる頃で。それまでは落書きレベルのものをいっぱい描いていました。手だけをいっぱい描いたりとかしていましたね。

──イラストレーターの方がスキルアップの為にパーツごとの模写をするようなお話は聞きますが、それと同じようなものだったのでしょうか?

望月けい 絵を描く練習みたいな意識はありませんでした、そもそも精度も高くなかったですし。ただただ好きな線を好きなように描いていただけだったんです。

──そこから本格的に絵を描き始めたのはなにかきっかけがあったのでしょうか?

望月けい 高校受験が終わったくらいの頃に、当時入っていたテニス部で漫画の貸し借りがすごい流行ったんです。元々めちゃくちゃ漫画を読むタイプではなかったんですが、そこで今まで自分が触れてこなかったタイプのジャンルに出会って、自分もこういう絵が描きたいなと思うようになりました。

その頃は模写するくらいでしたが、高校生に上がるくらいになって一枚絵として仕上げることを知って、ちゃんと色をつけたりもするようにもなりました。

──衝撃を受けたのは具体的にどの作品だったのでしょう?

望月けい 一番衝撃的だったのはモリタイシ先生の『いでじゅう』でした。こんな絵が上手い人がいるのかと思ったのを覚えています。あと『D.Gray-man』も好きで。当時みんなで回し読みして、見たことない世界観や綺麗な絵柄に驚きましたね。どちらもデフォルメが強い絵柄なので、今の望月けいの画風にも濃く影響していると自分でも思います。

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モリタイシ『いでじゅう』

──「望月けい」として活動をはじめたのはいつ頃でしたか?

望月けい 最初の頃は名義を転々としていたので、明確にいつから望月けいだったかは覚えていないんですが、一番最初にお仕事として絵を描いたのは高校2年生か3年生の頃でした。ソシャゲのイラストだったり、動画制作につかうイラストが中心でしたね。

──その頃からもう将来はプロとして活動することを意識していたのでしょうか?

望月けい 小さい頃から絵に関する仕事につきたい気持ちはあったんですが、イラストレーターになるぞって強く意識したことはなくて、なんとなくなるだろうなって感じがずっとありました

今思うと子どもだったとも思いますが、なれるかどうかに対しては心配はなくて、当然なれるもので、イラストレーターとして生きていくだろうと思っていましたね。

──その後は芸術短大の漫画学科に進まれていますが、その頃は漫画家になることも意識されていたのでしょうか?

望月けい イラストレーターが第一志望だったんですが、絵に関することはなんでもできるようになりたかったんです。なのでその中でも独学で学ぶのは難しそうな分野を考えて、漫画学科を選びました。

一年目は他の学科の講義も受けられたので油絵とかデッサンとかも学んでましたね。漫画についても思っていた通りに自分だけじゃ学びきれないところを学べたので、いずれどこかで活かしたいと思っています。

自分の人生は、自分で決める

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──幼い頃から「絵の仕事をする」と思っていたというお話でしたが、家族や周りの人々にイラストレーターになることを反対されたりはしませんでしたか?

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