「インターネットストリート」を体現する
2020.01.09
「AVTuber」と呼ばれる一群がいる。
現在、ネット発カルチャーとして大きな存在感と影響力を示すようになったバーチャルYouTuber(VTuber)の中でも、明示的に性的内容を含むコンテンツを発信しており、VTuberの中でも非常に特異な存在である。それゆえ、メディアではその存在が詳細に語られることはなかった。
短期集中連載「バーチャルYouTuberアダルト大系」では、VTuberとアダルトコンテンツとの関係性を整理し、今増加するAVTuberにスポットをあてる。
前回、その序章として、VTuberと成人向け二次創作の実態について紐解いた。
今回は、そもそもVTuberブームにはアダルトコンテンツが大きく影響していたという事実と、VTuberものAVについて語っていく。
目次
- 「例のアレ」 VTuberとアダルトビデオミームと「淫夢」の影響
- コスプレとAVとVTuberの関係
- 「見立て」の有無──VTuberコスプレAVにおける2つのタイプ
- VTuberによる“公式”コスプレAVという特異性
- では、AVTuberとは一体何なのか?
初回ではVTuberと性的表現を行った二次創作について解説してきた。VTuber、そしてコミュニティからの受け入れられ方はそれぞれ異なることが伝わったことと思う。
では、黎明期のVTuberそのものの受け入れられ方はどのようなものだったか。VTuberの総ファン数は次第に増加しており、VTuberがバーチャルYouTuberと呼ばれていた頃の出来事を知っているリスナーは相対的に少なくなってきている。
改めてブームの起因について振り返るとともに、タブーとされてきた話題であるが、そこにはアダルトの影があったことについて解説しよう。
2017年末まで「バーチャルYouTuber」はキズナアイの代名詞だった。しかし、現在では略語でもあるVTuberとともにジャンルやカテゴリ、キズナアイに似た存在を示す言葉として使われるようになっている。
その背景には、ニコニコ動画のカテゴリ「例のアレ」の存在があった。
かつてランキングを中心に再生数が回っていたニコニコ動画において、カテゴリはジャンルの住み分けにもなっていたもので、「例のアレ」は中でもアンダーグラウンドな動画のたまり場になっていた。
特にアダルトビデオ『BABYLON STAGE34 真夏の夜の淫夢 the IMP』を起源とするいわゆる「淫夢」と呼ばれるインターネットミームの勢力は強く(※)、様々なコンテンツを「淫夢」と見立てることで、多彩なミームを生み出していた(竹本竜都『ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評』: 「野獣先輩は淫らな夢を見るか?――<真夏の夜の淫夢>概説」南雲堂、2015、p4984)。
※編注:「真夏の夜の淫夢」はそもそも著作物であり、一連のミームは著作権違反に当たる可能性がある。また、ゲイ向けのアダルトビデオをネタにする風潮は性的少数派を揶揄しているとも捉えられかねず、出演者らのプライバシー保護という観点からも問題がある。加えて、一部の「淫夢厨」と呼ばれるユーザーの迷惑行動なども問題視されている。ただし、ニコニコ動画を含む日本のネットカルチャーにおいてその影響力は非常に大きく、その存在を抜きにネットカルチャーを語ることはできないため、その重要性を鑑みて、ここでは一つの事実として記述するに留める
実はVTuberもその「淫夢」に見立てられる、いわゆる「淫夢認定」をされ、広く認知されたという背景がある。
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