「RAPSTAR 2025」ファイナルには、正しさに打ち勝つ“間違い”が鳴っていた
2025.12.26
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ヒップホップと出会う以前から、常に音楽が隣にあったというCharlu。しかし二度の妊娠・出産を経て、ラッパーとしてのキャリアは途絶えることになった。それどころか、音楽が聴けなくなるほど生活も逼迫した。
彼女はそこからどのように舞い戻り、今の栄光を掴んだのか。大きな挫折を味わったCharluが、時に恐る恐る、それでもひたむきに思い描く未来像。
取材協力:AFTERLIFE 恵比寿
目次
- ポジティブな性格から「闇落ち」ギリギリの毎日へ
- この世界は、絶望だけじゃないんだな──ZORNに救われたあの頃
- ただ、1人で聴き込んできただけなのに──上達していたラップスキル
- 売れなきゃ、やりたいこともできない 一世一代の挑戦
- フェスに海外に……家庭とのギャップには、めまいがする
- 「幸せになっちゃダメだとも思っちゃう」
- シングルマザーという絶対者を経て
- 幸せなのに、不安も悩みもある。でも、未来にはワクワクしていたい
「全部にいっぱいいっぱいで、キャパがなくて、常にギリギリなんですよ(笑)」
「GIRI」は、のちにオーディション番組「ラップスタア 2024」で、まさに極限状態から生み出されて、現在のCharluを代表する一曲だ。
普段から「ギリ」という言葉をよく使っちゃうと笑うCharlu。確かにこの日の取材でも、何度か彼女の口からこの言葉がこぼれた。
ギリギリの毎日 ガリガリのキャリアCharlu「GIRI」
現在でもギリギリなことが多い日々だというが、出産前後は、精神的にも金銭的にも本当にギリの崖っぷちの毎日だった。
「もともとはとびっきりのポジティブ女なんですけど、いろいろあって、闇落ちしちゃいました」
幼少期は天真爛漫、負けん気の強さが特徴の少女だった。
「もともと、やりたいことをやっちゃうタイプでポジティブな性格だったんですけど、大人になってネガティブなことを知って。でも、ネガティブな感情も自分のエネルギーに変えられることを知ったんです。一時期、ポジティブこそが正義みたいな雰囲気があったじゃないですか。でも、その時私はどん底だったので、ポジティブがすべてじゃないよなって。そういう思いはあります」
1990年代から今世紀まで、自己啓発の広まりにより、ポジティブシンキングをはじめ前向きな心持ちこそがあるべき姿勢だと言わんばかりの空気感が社会に拡散された。さまざまに揺れ動く感情こそが人間の面白さだというのに。
ポジじゃないんじゃなくてネガも持ってるのさCharlu「CREAM」
闇落ちして音楽すら聴けない状態だったCharluは、家族の成長と共に少しずつ音を楽しむ感覚を取り戻していった。
「仕事も保育園も決まって、通勤で音楽を聴きはじめたんです。昔好きだった曲から聴いて、徐々にディグって。あとは、1人の時間、たとえば子どもを寝かしつけた後に、歌詞を読んでこれってどういう意味なんだろうと考えながら、何度も聴いてましたね」
いつもより夜更かし 眠くなる頃 1人こっそり聴くZORNCharlu「KITAKAZE NIGHT」
その時期、特に聴いていたのがZORNの曲だった。
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