ヒップホップを構成する3つのルールと、年代別女性ラッパー史 つやちゃん x valknee x 伏見瞬 座談会レポ
2022.10.09
気鋭のライター・つやちゃんを迎え、現象としての“フィメールラップ”を追ってきた本連載。
最終回では、2020年の連載からこれまでの動きを振り返りながら、ヒップホップ文化の未来を射程に捉え「フィメールラップ」というカテゴライズに終わりを告げる。
冒頭から告白してしまおう。
過去9回に渡り、国内シーンにおけるフィメールラッパー達の立ち位置や背景にあるカルチャー等をまじえつつ、音楽から観察される魅力を論じてきた。
これまであまりまとめられてこなかった偉業を拾い上げ歴史とともに編纂するという本連載の目的が果たされたか、その判断は読者に委ねなければならないが、彼女たちの音楽に向き合う中で何より新たな視点を獲得し価値観を揺さぶられてしまったのは、他でもない私自身である。
同時に私は、本連載において、またあらゆるところで、安易に“フィメールラップ”という括りを使ってきたことを後悔しはじめている。私たちリスナーが心を動かされ魅力に感じてやまない彼女たちの音楽を“フィメールラップ”と表現することで、実はジャンルの枠に閉じ込めてしまっているという現実があった。
ラベリングというのは便利なものである一方、安易でもある。フィメールラップという括りがラップミュージックにおけるサブカテゴリ―となったことで、先入観とリスナーの固定化を生み、音楽が範疇を超えて聴かれる可能性を抑制してしまっていた事実に私たちはもう少し敏感になる必要があるだろう。
例えば“神奈川ヒップホップ勢”という括りがその音楽の聴かれ方、拡がり方に蓋をしてしまうことはほとんどないと思われるが、“フィメールラップ”と烙印を押された時点でその音楽は枠の中に押し込まれリスナーを限定してしまう。
ゆえに、2021年の今、私は自戒を込めつつ言いたい。フィメールラップという呼称は、もう終わりにしようと。つまり、彼女たちはラッパーであり、彼女たちがやっていることはラップだ。それで十分だ。
目次
- ラッパーたちの、音楽的挑戦
- ヒップホップは、膨張している
- “フィメールラッパー”は葬り去られた
実際のところ、連載開始以降この数か月の間にも、彼女たちはエッジの効いた音楽を届けその度にシーンを沸かせている。
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