若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
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霜降り明星、ハナコ、宮下草薙、EXIT、四千頭身、かが屋といった「お笑い第七世代」のほか、アンダーグラウンドな気鋭の若手芸人も取り上げ、コアなお笑いファンから一目置かれる雑誌『芸人芸人芸人』(現在は『芸人雑誌』/太田出版)。この雑誌を作りあげたのが、編集長を務めた福田駿だ。
出版社に属しつつも自分1人きりの編集部で、編集未経験ながら企画から制作の全行程に携わった。そんなほぼインディペンデントといえる編集体制で生まれた雑誌は、ガチのお笑いファンならではの濃密な内容で、発売前から重版がかかるほどの反響を得た。
そんな福田駿の編集術とは一体どんなものなのかと探りを入れてみると、編集者として駆け出しであることを終始まったくもって隠さない姿勢に面食らう。このインタビューでは、そんな編集者としての異才ぶりと、1人のディープなお笑いファンである彼から見えているお笑いの最前線の様子に迫っていく。
目次
- 「専門用語ばっか使いやがって」。最初はそう思ってました。
- 超エッジイなデザインと取材ラインナップの裏側
- 「芸人」よりも「ネタ」が力を持つ時代 お笑いの鍵握る「サークル」と「配信」
取材・執筆:ヒラギノ游ゴ 編集:和田拓也
──『芸人芸人芸人』の刊行に至る経緯はどのようなものだったんでしょうか。
福田駿(以下、福田) 特に劇的な話ではないんですけど、中途入社してすぐの企画会議で得意分野のお笑いなら雑誌が作れると思って企画したのが『芸人芸人芸人』でした。いろいろと根回しをしてどうにか刊行にこぎつけたということもなく、会社が「新入社員に好きなことやらせてみよう」と考えてくれたおかげで実現した側面は大きいと思います。
──『芸人芸人芸人』を刊行する出版社に勤務する前も出版社勤務だったんですよね?
福田 はい。別の出版社でビジネス書の営業をしていました。営業と言っても相手は書店や取次ではなく著者候補の方。「本を作りませんか」とお伺いを立てて回るのが仕事でした。だからもう、編集経験がまったくのゼロの状態で『芸人芸人芸人』を作りはじめて、今でもぜんぜん編集のことはわかってないです。
──現在はQuick Japanの編集部に所属していらっしゃるんですよね。
福田 そうですね。『芸人芸人芸人』はベテランの外部デザイナーさんに助けていただきながら勢いで駆け抜けたようなところがあるので、今の職場には編集というものを学び直すような気持ちで入りました。
──なるほど、学び直すって感じだったんですね。とはいえ、前職でゼロから雑誌を立ち上げて2号出したわけで、それなりにノウハウも身についたと思うんですが。
福田 いや、本当に全然で。前の会社は基本的に新卒を採っていないので、新人をゼロから教育するということをやっていなくて。いくらお笑いが好きで企画が固まっていても、それを実現するための編集の話法がまったくわからなくて。実際の制作と平行で勉強もしてという感じで、本当に大変でした。
──「編集」と一口に言っても、企画立案、制作進行、校正校閲など様々なプロセスがあると思いますが、福田さんは「編集」のどのあたりの行程に苦戦されたんですか?
福田 全部ですけど、なんかこう、特殊言語がものすごく多いじゃないですか。
──特殊……例えばトルツメとかイキママとかそういった用語のことですか?
福田 そうですそうです、そんなやつ。当然ですけどそれをみんなが当たり前のように使うんですよね。僕はほとんどの言葉がわからなかったので作業が遅々として進まなくて、初心者に優しくない世界だなとは思いました(笑)。
──どの業界にもそれなりに用語があると思うので、教育の機会さえあれば違ったんでしょうけどね。インタビューにも実際出向かれたんですよね? 経験がない状態でのインタビュー、かなり苦戦したんじゃないかと思うんですが。
福田 そうですね、原稿執筆はライターさんに依頼していたので、僕は同席というかたちでした。ただ、第七世代より上の世代の芸人さんたちの何組かはお話を聞き出すのがかなり難しかったですね。おそらく若い頃のダウンタウンさんの尖ったスタンスに影響を受けてるんじゃないかなと思うんですが。僕みたいなお笑い好きが思い描く芸人像そのままでとてもカッコよかったんですけど、インタビューとしてはなかなかうまくいかなくて冷や冷やしました(笑)。
福田 ほかにも、1号目でかが屋さんの写真のキャプションに別のコンビ名をつけてしまって、発売されてから気がついたということがありました。これは冷や冷やどころでは済みませんでしたね。案の定 SNSでかなり言われちゃって。
──初歩の初歩のミスだけに、堪えますね。
福田 本人たちは「話のネタになったよ」って言ってくれたんですが、事務所の方にはしっかりとお叱りをいただきました。そんな感じで、もう本当に失敗の連続でしたね。
──現在の職場であるQuick Japanに入ってからはどうでしょうか?
福田 毎日失敗してますね。さっきまさに直近の大失敗についてお叱りのメールが来たところです。
──あ、なら一旦待つのでお返事送って大丈夫ですよ。
福田 すみません、5分ください!(一時中断)
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