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  • 2021.10.25

カクレンジャーが教えてくれた、あるべき“レッド像”──「スーパー戦隊シリーズ」前編

カクレンジャーが教えてくれた、あるべき“レッド像”──「スーパー戦隊シリーズ」前編

お笑いコンビ・宮下草薙宮下兼史鷹が熱くおもちゃを語る本連載。

今回のテーマは「スーパー戦隊シリーズ」。宮下が愛してやまない仮面ライダーシリーズとともに「スーパーヒーロータイム」を形成する歴史ある作品。おもちゃとしても、バンダイが誇る巨大コンテンツの一角だ。

前後編の前編である今回は、数ある戦隊シリーズの中でも特に宮下が愛してやまない『忍者戦隊カクレンジャー』、そしてシリーズ内でも異色作品として高く評価されている『未来戦隊タイムレンジャー』の魅力について語っていく。

取材・執筆:ヒラギノ游ゴ 構成補助:赤井大祐 編集:和田拓也

目次

  1. レッドでない女性がリーダーを務めた「カクレンジャー」
  2. 物語のなかで展開されたケイン・コスギの親子対決
  3. 大人な雰囲気の意欲作「タイムレンジャー」
  4. あるべきレッド像を確立したニンジャレッド・サスケ

レッドでない女性がリーダーを務めた「カクレンジャー」

今回のテーマは「スーパー戦隊シリーズ」。子供には難解なストーリーの作品が目立つ仮面ライダーシリーズと比べると、より子供向けの作品という印象があるかもしれません。でもそれは、翻って言えば幅広い層に受け入れられる普遍性があるということ。大人になってから観ても楽しめる要素がふんだんに盛り込まれた優れたコンテンツなんです。

僕が初めて観た戦隊は『恐竜戦隊ジュウレンジャー』。そして一番思い入れがあるのはその次に放送された『忍者戦隊カクレンジャー』です。子供の頃はもちろん、成長してからDVDを買って観返して今に至るまで、ずっと大好きな作品です。

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忍者戦隊カクレンジャー Vol.1/画像はAmazonより

特徴的なのが、忍者の戦隊が妖怪軍団と戦う設定なのに、クリーチャーのデザインや演出がアメコミ風なこと。演出というのは例えば、敵を殴ったり斬りつけたりすると画面に「BA-KOOOOOM」「ZBAAAAK」みたいな英語の書き文字が表示される。そういう端々の表現にセンスを感じるんですよね。

余談ですが、ニンジャホワイトこと鶴姫は僕の初恋の相手。将来絶対結婚するんだって思ってました。というか当然そうなると思い込んでましたね。鶴姫はレッドでないメンバーとしては珍しくリーダーを務めていて、たぶん当時初だったんじゃないかな? 年齢もかなり若くて当時中学生くらいで、年が近いのもあって何かと魅力的に映ったんです。

物語の序盤はとにかくコミカルで、軽快なテンポが楽しい作品です。小さい子供でも観やすいようにと趣向が凝らされていたんですよね。敵の妖怪たちも毎回倒されてしまうのが惜しいぐらいみんなデザインがよくて、個性豊かで。毎話こんなにいい敵キャラを使い捨ててしまっていいんだろうかってくらい贅沢で、本当に観ていて楽しかった。

コミカルな第1部に比べて、第2部「青春激闘編」はけっこうシリアスになっていきます。

亡くなったと思われていた鶴姫の父親が白面郎という敵の幹部として現れて、深みのある人間ドラマが展開されるんです。印象深いのは敵のボスである妖怪大魔王。人間の持つ憎しみの心を力の源としていて、人間がいる限り憎しみの心も世の中にあり続けるので、構造的に絶対倒せないわけです。

一般的な子供向け番組であれば、「憎しみは人間の心の本質ではないんだ!」みたいな感じの持っていき方でまとめちゃうところかと思うんですが、カクレンジャーはそれをしませんでした。「人間は憎しみの心を持ってるよね」という部分は最後までブレさせなかった。憎しみの心ありきで、じゃあどうするかっていう現実的な落とし所を探っていくんです。

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